(令和7年10月21日 知財高裁令和7年(行ケ)第10052号 審決取消請求事件)
事案の概要
原告(被請求人)が商標権者である本件商標(登録第6203092号)は、「Value Investing Academy」を標準文字で表し、指定役務 41類「技芸又は知識の教授、セミナーの企画・運営又は開催、電子出版物の提供、図書及び記録の供覧、書籍の制作、放送番組の制作、写真の撮影」とする商標登録に対して、被告(請求人)は、商標法50条1項に基づく商標登録取消審判(2022-301095)の請求をした処、特許庁は本件商標の商標登録を取り消すとの成立審決をしたため、知財高裁に対し審決の取消しを求めてを提訴した事案である。
判 旨
本件において、証拠(甲1から3まで、乙1から6まで)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、バリュー投資セミナー、VIA復習会等の名称で投資に関するセミナー等を開催してきているところ、令和2年6月22日には、「VIAフォローアップ」「VIA復習会」に係る講演をオンラインで実施し、受講者に対し、・・・当該講演の様子を伝える画面では、画面右上に講演者である 原告の画像及び開催者である原告の会社名(WAVELINK)が表されるとともに、画面中央に資料が表示されていたこと、当該資料には、「【VIAフ ォローアップ】 R2 6月22日」との表題・日付のほか、本件商標である 「Value Investing Academy」の表記が商標登録番号とともに表示されていたことがそれぞれ認められる。そうすると、原告は、少なくとも、令和2年1月6日から令和5年1月5日 までの要証期間中の令和2年6月22日に、指定役務である「セミナーの企画 ・運営又は開催」に該当する上記講演において、本件商標を資料に表示するなどして使用したものと認められる。そして、本件商標は、同日の講演の主催者を表示する態様で使用されたものといえるから、本件商標が役務の出所を表示し、自他役務を識別するものと取引者及び需要者において認識し得る態様で使用されたものと認めるのが相当である。
コメント
本件は、不使用取消し審判において登録取消しの成立審決を、知財高裁が取り消した事例である。知財高裁は、甲号証により、原告が、要証期間内に、指定役務「投資に関するセミナー等」の開催おいて、本件商標を使用している事実を認定している。この点、審決では不明とされたが、当該甲号証は、訴訟段階で提出されたのであろうか。
