(令和7年10月21日 知財高裁令和7年(行ケ)第10045号「ROG」不使用取消事件)
事案の概要
原告(審判請求人)は、被告(審判被請求人・商標権者)が有する本件商標「ROG」(標準文字 第6278380号)25類「子供服、Tシャツ、スウェットシャツ、パーカー、ジャケッ ト(被服)、コート、セーター類、ズボン、半ズボン、スカー ト、婦人服、下着、靴下、手袋、よだれかけ(紙製のものを除 く。)、帽子、その他の被服、ズボンつり、バンド、ベルト」について、商標法50条1項に基づき本件商標登録の取消しを求めて審判(2023-300565)を請求した処、特許庁は不成立審決をしたため、知財高裁に対して、審決の取消しを求めて提訴した事案である。要証期間(商標法50条2項)は、令和2年8月29日から令和5年8月28日までである
判 旨
商品に標章を付する行為(商標法2条3項1号)及び標章を付した商品の取引行為(同項2号)について ⑴ 後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件Tシャツ2381303は、胸元に「ROG」の文字(「本件使用商標4」)をプリントしたTシャツであり、2023年夏物の注文用カタログ(証拠略)の2枚目上段中央、2023年夏物の写真カタログ(証拠略)の2枚目左、3枚目左の各写真に掲載されている。被告は、令和5年6月17日付けで、「アドバンス ソトバヤシティアラ店」から、2枚の本件Tシャツ2381303を含む被服の注文を受け、同月20日、これらの被服を納品した(証拠略)。この注文を記載した手書きの用紙(証拠略)では、品番、品名、上代(一般消費者に対する販売価格)、カラー及びサイズによって、本件Tシャツ2381303その他の商品が特定されている。本件Tシャツ2181304は、胸元に「ROG」の文字(「本件使用商標5」)をプリントしたTシャツであり、2021年夏物の注文用カタログ(証拠略)の2枚目上段の右から2の各写真に掲載されている。被告は、令和3年3月12日、「EXCEL旭川豊岡店」及び「EXCELアルティモール店」に対し、それぞれ8枚の本件Tシャツ2181304を含む被服を納品し、同月20日締めの請求書を送付し、同年4月20日にその入金を受けた(証拠略)。
⑵ 本件使用商標4及び本件使用商標5は、それぞれ書体の若干の違いや文字色の違いはあっても、「ROG」の文字を表していることは明らかであり、その使用は、「ROG」(標準文字)からなる本件登録商標と社会通念上同一の商標の使用に当たると認められる。なお、本件使用商標4及び本件氏用商標5は、それぞれ「ROG」の文字部分を構成要素とする結合商標の一部とみることもできるが、そのようにみたとしても、いずれも、人目を惹く位置に最も大きな文字で表され、二重引用符で強調されている「ROG」の文字部分が、商品の出所識別標識として機能するものと認められるから、本件登録商標と社会通念上同一の商標の使用に当たることに変わりはない。
コメント
本件事案では、知財高裁において、直接本件商標の使用について認定判断されて、使用が認められたものである。本件訴訟段階で使用証拠が提出され、それは許されると判例(「シェトア事件」最高裁昭和63年(行ツ)第37号 平成3年4月23日 民集45巻4号538頁)を引用している。審決の当否ではなく、新たに使用の有無が争われ、使用を認めた裁判例である。
