2026-01-22

工藤莞司の注目裁判:商品「生ゴミ処理機」と役務「生ゴミ処理機の貸与」は類似として、審決を取消した事例

(令和7年12月1日 知財高裁令和6年(行ケ)第10056号 「ゴミサー」事件)

事案の概要
 被告(審判被請求人・商標権者)が有する本件商標「ゴミサー」(標準文字 登録第6414447号)指定役務40類「生ゴミ処理機の貸与、化学機械器具の貸与」について、原告(審判請求人・引用商標権者)は、登録無効審判(2023-890069)の請求をした処、特許庁は不成立審決をしたため、知財高裁に対して、審決の取消しを求めて、提訴した事案である。無効理由は、商標法4条1項11号、15号及び7号違反で、引用商標は、商標「ゴミサー」(標準文字 登録第5769618号)指定商品7類「生ゴミ処理機、液体肥料製造装置」である。以下の争点は、指定役務と指定商品の類否である。

判 旨
 引用指定商品と同じ7類に属する建設機械について、その製造業者又はその関連会社が、販売とともに貸与(レンタル)も行っているという取引の実情がある。これに加え、複写機、プリンター等の出力機器や事務用機器等の商品を取り扱う会社においても、会社の目的に商品の販売と貸与の両方を挙げる会社が複数存在する(証拠略。なお、被告も、会社の目的に「産業用機械器具の製造、販売及び賃貸」が含まれている。)。機械に商標を使用する者がその機械の貸与も行っていることは、通常、特に意外なこととまではいえず、むしろ、予想し得る範疇のことといえる。また、本件指定役務の需要者は生ゴミ処理機を使用する者であり、引用指定商品の需要者も、その多くは、生ゴミ処理機を使用する者であると推認されるから、双方の需要者は多くの部分で共通する。これらの事情を考慮すれば、本件指定役務と引用指定商品に同一又は 類似の商標を使用する場合には、同一営業主の製造、販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるということができる。したがって、本件指定役務と引用指定商品は類似するものと認められる。

コメント
 本件事案では、指定役務と指定商品の類否が争われて、知財高裁はこれを認め両者は類似と判断して、非類似とした審決を取り消したものである。「橘正宗事件」判例 (昭和36年6月27日 最高裁昭和33年(オ)第1104号 民集15巻6号1731頁)を踏まえたもので、本件指定役務の需要者と引用指定商品の需要者とは多くの部分で共通するとしている。「商品・役務類似審査基準」では類似とはされていないが、個別事案では、実際の取引の実情を主張、立証して争うことは可能であり、最近でも、指定商品「分析機械器具用ソフトウェア及びデータ分析用ソフトウェア」と、指定役務「水道管理用プログラムの開発を行う役務」とは需要者等を共通にして、類似の商品、役務とした裁判例(令和7年7月24日 知財高裁令和7年(行ケ)第10005号)や役務「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標の指定商品中「せっけん類、歯磨き」とは対象商品の同一を理由に類似すると判断した裁判例もある(令和7年11月17日 知財高裁令和6年(行ケ)第10104号)。