(令和8年1月27日 知財高裁令和7年(行ケ)第10085号 「ヘルスジム」事件)
事案の概要
原告(審判請求人・出願人)は、本願商標「ヘルスジム」(標準文字)41類「スポーツの興行の企画・運営又は開催,スポーツの興行の企画・運営又は開催に関する指導・助言・相談又は情報の提供,スポーツに関する情報の提供,スポーツジムの提供,運動競技会の企画・運営,スポーツイベントの企画・運営,スポーツイベントの企画・運営に関する指導・助言・相談又は情報の提供他」(補正後のもの)について登録出願をしたが、商標法3条1項3号及び4条1項16号に該当するとして拒絶査定を受けたので、拒絶査定不服審判(2024-8713)の請求をした処、特許庁は不成立審決をしたため、知財高裁に対し、審決の取消しを求めて提訴した事案である 。
判 旨
本願商標・・・「ヘルス」は「健康」(証拠略)、「ジム」は「室内トレーニング施設」(証拠略)、「トレーニングのための屋内施設」(証拠略)を意味する語として、いずれも辞書に載録され、外来語由来ではあるが我が国において広く用いられるなじみの深い語である。そして、上記辞書の記載によると、「ヘルス」の語は、「ヘルスセンター」、「ヘルスケア」及び「ヘルスツーリズム」のように、語の後ろに名詞を組み合わせて「健康のための○○」を示す用法が慣用されていると認められる。また、証拠(証拠略)によると、「ジム」の語は、それ自体「健康増進、維持を目的とする屋内運動施設」を示す用語として使用されるほか、「フィットネスジム」、「パーソナルジム」及び「リハビリジム」のように、語の前に名詞又は形容詞を組み合わせて「○○といった特徴を有する屋内トレーニング施設」を示す用法が慣用されていると認められる。そうすると、本願の指定役務の取引者、需要者というべき一般消費者は、「ヘルスジム」との文字列から、「健康のための屋内トレーニング施設」との意味合いを容易に想起するものといえる。取引の実情 証拠(証拠略)によると、新聞記事、地方公共団体の広報紙不動産開発会社や旅行代理店のウェブサイト、店舗検索ウェブ サイト、インターネット上のニュースサイトやブログ等において、「ヘルスジム」の語が、「健康のための屋内トレーニング施設」といった意味合いを示す用語として、特段の語句の説明もなく、相当程度使用されていることが認められる。このことは、本願の指定役務の取引者、需要者において、「ヘルスジム」の文字列から、「健康のための屋内トレーニング施設」との意味合いを容易に想起することを裏付ける実情ということができる。以上によると、本願商標は、「トレーニングジムの提供」等を含むその指定役務との関係で、役務の質(内容)を表示記述するものであって、本願商標が当該指定役務に使用された場合に、取引者、需要者により、将来を含め、役務の質(内容)を表示したものと一般に認識されるものである。そして、本願商標は、特段、識別力を獲得するための他の要素は加えられていない。したがって、本願商標は、その指定役務について役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといえるから、商標法3条1項3号に該当する。
コメント
本願商標は商標法3条1項3号に該当とされたもので、審決の判断通りである。判決にも、容易に想起・・・とあるように、分かり易い3条1項3号該当事例である。3条2項の使用による識別力の獲得の適用を求めるのであれば兎も角、審決取消訴訟や審判を経るまでもない例であろう。なお、本件判決は、4条1項16号については何ら言及していないが、審決維持には、3条1項3号該当で充分と考えたのであろう。
