2026-05-14

EU:多少類似した程度でも危険領域から逃れられない著名商標の存在 - Knijff Trademark Attorneys

 最近の「MARLBORO(マールボロ)」と「MILLSBORO」 の事例は、多少類似した程度でも危険領域から逃れられないほど、極めて強力な著名商標が存在することを端的に示している。
 世界的に著名な紙巻たばこブランド「MARLBORO」は、その典型例である。最近、フィリップモリスは、第34類に属するたばこ製品および関連商品、すなわち紙巻たばこ、葉巻、電子たばこ、ライター、巻紙等を指定してEUIPO(欧州連合知的財産庁)に出願された、「MILLSBORO」の文字を含む図形商標の登録に異議を申し立てた。

 「MARLBORO」と「MILLSBORO」を比較すると、外観的に両商標の間には一定の違いが存在している。しかし、本件異議申立ては、混同のおそれの有無に基づいて判断されたものではなく、著名商標に付与される広範な保護範囲に基づいて判断されたものである。
 EUIPO異議部は、少なくとも紙巻たばこについて、「MARLBORO」が欧州連合において極めて強い名声を有していることは十分立証されていると認定した。この認定は、年次報告書、市場占有率、各種記事、ランキング、および先行審決等に基づくものだ。
 その後、EUIPOは、商標自体の比較検討を行った。「MARLBORO」と「MILLSBORO」は同一ではないものの、外観および称呼上の類似性の程度は「中程度」であると判断した。特に、語頭の「M」の共通性、語構成、そして語尾の「-BORO」という共通部分によって、両商標は相当に近接していると評価した。

 著名商標の広範な保護を問題とする場合、主要な論点は、単に商標同士が類似しているか否かにとどまらない。むしろ重要なのは、関連する公衆が両商標の間に何らかの関連性を認識するか、ないし連想する可能性があるかどうかである。本件においては、関連する公衆が「MILLSBORO」と「MARLBORO」との間に結び付きや関連性を認識するものとEUIPO は判断した。
 さらに、EUIPO は、「MILLSBORO」商標は、先行する「MARLBORO」商標の名声から不当に利益を得るか、あるいはその名声を害するものという要件も満たされると判断した。すなわち、両当事者はいずれも、たばこ製品および喫煙関連商品という全く同一の商業分野で事業を行っていることから、出願人は、自ら独自の投資を行うことなく、著名な先行商標が有する顧客吸引力および販売力から利益を享受する可能性が高いと認定されたのである。 

 これは、商標法上で指摘される「フリーライド」の典型例だ。競業する会社として一定の距離を置いたと考えても、需要者が著名商標との関連性を想起すると判断されれば、商標権者が権利行使に踏み切ったとしても不思議はない。

本文は こちら (How close can you get to a famous trademark? MARLBORO versus MILLBORO provides the answer)