2026-05-20

EU:「Annaïs Paris」が「Anais Anais」に類似すると判断された理由 - Knijff Trademark Attorneys

需要者の認識の中に極めて強固に定着しているある商標に、わずかな差異を加えたとしても、混同のおそれを回避するに足る十分な距離を生み出せない場合がある。

今回は、欧州商標出願「Annaïs Paris」に対するロレアルの異議申立事件において問題となった事案である。著名な化粧品会社のロレアルは、香水、化粧品の分野で広く知られた先行商標「ANAIS ANAIS」を根拠に異議を申し立て、欧州連合知的財産庁(EUIPO)において、その主張は概ね認められた。

図形商標「Annaïs Paris」は、第3類の化粧品、香水、オイル類、スキンケア製品、メイクアップ用品その他関連商品を含む広範な商品を指定して出願されていた。EUIPOは、これら商品の大部分について、登録商標「ANAIS ANAIS」が指定する香水、オードトワレ、化粧品等の商品と同一又は類似するとして商標登録を拒絶し、研磨剤、塗料剥離剤、靴クリーム等、明確に異なる商品に関しては拒絶を免れた。

商標の比較において、EUIPOは特に「Annaïs」の要素に着目した。スペイン語圏およびフランス語圏の需要者にとって、「Annaïs」は「Anais」と女性の名前の表記上のバリエーションにすぎないと理解されると判断した。さらに、付加された「PARIS」の語について、EUIPOは、主として地理的表示として認識されるにとどまり、識別力は乏しいと評価した。また、EUIPOは、出願商標に施された書体やデザイン上の特徴についても、十分な識別上の差異を生じさせるものではないとし、総合的にみて、両商標は外観上類似し、称呼上および観念上においては高度に類似すると判断した。

需要者は通常、商標を並べて直接比較するわけではなく、記憶に残るのはあくまで全体的な印象にすぎない。そのため、例えば「n」が一文字追加されていることや、分音記号(「ï」)が付されていることといった軽微な綴りの差異は、ブランドオーナーが期待するほど大きな意味を持たないことが多い。EUIPOは、需要者が「Annaïs Paris」を「Anais Anais」の派生ブランドやサブブランドであると理解し、その結果、この商品が同一事業者や経済的に関連する事業者から提供されているものと誤認する可能性は十分にあり得ると判断した。

結論としては自然な帰結であり、事前に商標ウォッチングを行っていれば回避できた可能性のある事案でもある。時として、採用したい名称が当初から使用可能ではないことはある。特に、新たに使用したいと考えた商標が、既に市場で確立された先行商標と高度に類似している場合には、その傾向が顕著である。

本文は こちら (Why Annaïs Paris came too close to Anais Anais)