旅行の大きな楽しみの一つは、現地のスーパーマーケットを訪れることである。そこでは、これまで一度も見たことのない、馴染みのないブランドに出会うことがよくある。
自国には存在すらしない、まったく異なる商品が人気を集めていることもあるし、現地で特有なフレーバーを展開している有名ブランドも多くみられる。
スペインのスーパーマーケットでは、間違いなく「Cheetos(チートス)」に出会うことになるだろう。もともとは米国で誕生したスナック菓子だが、スペインでも人気があり、さまざまなスペイン定番フレーバーが販売されている。
このような中、第三者が欧州連合(EU)において、広範な食品を指定して「CHEEZO」商標を登録出願した。これに対し、「Cheetos」の商標権者である米PepsiCo(ペプシコ)は、名声を有する商標に認められる広範な保護を根拠として異議を申し立てた。
欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、スペインにおいて、穀物を主原料とするスナック菓子について高い認識度・名声を有することをPepsiCoが十分に立証したと判断した。この結論に至るに当たり、EUIPOは販売実績だけでなく、数千の小売店舗における商品の取扱状況、メディアでの報道、ブランドに関する調査、マーケティング活動なども考慮した。
したがって、「CHEETOS」は単に「よく知られた商標」であることにとどまらず、スペイン公衆の意識の中に明確な地位を確立したブランドであるとされた。
次いでEUIPOは、「CHEETOS」と「CHEEZO」の文字を比較した。両商標の冒頭部分「CHEE」が同一であり、全体としてほぼ同じ長さを持つうえ、スペインの消費者にとって称呼上も類似している。さらに、問題となった商品はいずれも食品分野に属していることから、EUIPOは消費者が両商標の間に何らかの関連性を認識する可能性が高いと判断した。
そのため、CHEEZOの使用は、長年にわたりCHEETOSが築き上げてきた名声および顧客吸引力に不当に便乗することになると判断された。結果として、「CHEEZO」商標は全ての指定商品において登録を全面的に拒絶された。
PepsiCoにとって見事な勝利であり、理にかなった結果でもある。特にスーパーマーケットの店頭では、消費者は必ずしも商品を注意深く比較するための時間をかけるとは限らない。このような市場環境において、著名ブランドは、自らの名声への便乗を狙う第三者に対して適切な権利行使を行えるよう備えておくことが重要である。
