2026-11-05

EU:商標「サンタクロースの公式ホームタウン」は誤認を生じさせるか? - Knijff Trademark Attorneys

フィンランド北部のラップランド地方の主要都市ロヴァニエミ(Rovaniemi)は、長年にわたり、サンタクロースの故郷としてアピールしてきた。

ロヴァニエミ市には「サンタクロース村(Santa Claus Village)」があり、年間60万人を超える観光客を集めている。また、ロヴァニエミ市は、2009年に登録された欧州連合(EU)の文字商標「THE OFFICIAL HOMETOWN OF SANTA CLAUS(サンタクロースの公式ホームタウン)」を所有している。この商標は、広告、電気通信、輸送、旅行の手配などを指定役務として登録されている。

サンタクロースの公式な故郷?
そもそもサンタクロースは架空の人物である。それなのに、どの都市がサンタクロースの故郷であると主張できるのだろうか。これはもっともな疑問であり、ジャーナリストのLex Boon氏がさらに調査を進めるきっかけとなった。Boon氏は、この調査とその結果をまとめた「Ho ho ho」という書籍を執筆した。

興味深いことに、Boon氏は、ロヴァニエミ市のEU商標に対して無効審判を請求することにより、この疑問を欧州連合知的財産庁(EUIPO)に提起した。

Boon氏は、当該商標は記述的すぎると主張した。すなわち、これらの語句は単なる広告メッセージにすぎず、出所を表示するものではないという。また、サンタクロースの故郷として都市を公式に指定できる者は誰もいないため、この商標は誤認を生じさせるとも主張した。
当然のことながら、ロヴァニエミ市はBoon氏の見解を受け入れなかった。同市は、当該商標は独創的な語句の組合せであり(したがって識別力を有する)、需要者はサンタクロースが架空の人物であることを十分に理解しているうえ、当該商標は誤認を生じさせるような表示ではないと反論した。

EUIPOによれば、スローガンであっても、広告的な性格を有するという理由だけで商標となり得ないわけではない。問題は、需要者がその語句を単なる広告メッセージとしてのみ認識するかどうかである。本件では、そのような認識がされることは立証されなかった。
当該商標はロヴァニエミという地名に言及しておらず、物語に登場する人物の故郷を指している。EUIPOの見解では、「公式」という概念とサンタクロースという存在との組合せには、ある種の逆説的な要素があり、そのことによって、当該商標はありふれた宣伝文句を超えるものとなっている。
また、当該商標は役務の特性を記述するものでもない。例えば、輸送や電気通信といった役務との間に、直接的かつ具体的な関連性が存在しないためである。
さらに、当該商標は誤認を生じさせるものでもない。需要者が、サンタクロースの故郷を指定する公的機関が存在すると考えることはないであろうし、当該商標は指定役務について虚偽の内容を述べているわけでもない。

ロヴァニエミ市が商標を維持できることは、ロヴァニエミ市にサンタクロースが住んでいる、あるいはロヴァニエミ市が何らかの公式な認定を得ていることを、EUIPOが認めたことを意味するものではない。EUIPOは、そのような判断を行ってはいない。EUIPOが審査したのは、登録されている指定役務との関係においてのみである。
架空の人物には公式な故郷など存在せず、したがって当該商標には一定程度の誇張が含まれているという事実そのものが、無効審判請求を退ける十分な理由となったのである。

Boon氏が「サンタクロースの公式な故郷」というロヴァニエミ市の主張を深刻に受け止めすぎたのか、それとも、ロヴァニエミ市が主張していること自体に何らかの意味があるのかという疑問は残る。仮に、他の都市が自らをサンタクロースの故郷であるとアピールすることを妨げられるのであれば、ロヴァニエミ市の主張は違法性を帯びることになるかもしれない。
因みに、Boon氏も落胆する必要もない。Boon氏自身「The Official Hometown of the Easter Bunny(イースターバニーの公式な故郷)」という商標の誇り高き所有者なのだから(その故郷がどこであれ)。

本文は こちら (Is the trademark THE OFFICIAL HOMETOWN OF SANTA CLAUS misleading?)