欧州連合知的財産庁(EUIPO)と欧州委員会の税関同盟総局(DG TAXUD)は、EU域内における知的財産権侵害品の取締り実績をまとめた共同報告書を公表した。
報告書によると、2025年にEUの執行当局が押収した偽造品は、EUの域外国境および域内市場を合わせて1億9,600万点を超え、推定価値は63億ユーロに達した。押収点数は2024年比で67%増加し、従来の最高記録であった2023年を29%上回った。これは、EUの知的財産権執行当局がこれまでに報告した押収点数として過去最高となった。
品目別では、「録音済みCD・DVD」が全押収品の約30%を占め、引き続き最多となった。これには音楽・映画作品、テレビ番組のボックスセット、レトロゲーム、アプリケーションソフトウェアなどが含まれる。次いで玩具が約5分の1を占めた。また、ラベル、タグ、ステッカーの押収点数も多く、偽造品の組立てや仕上げに使用される可能性が指摘されている。このことは、製品の一部がEU域内で完成されている可能性を示唆する。その他、電子ゲーム機を含むゲーム、衣類、電子タバコやベイプ機器を含むたばこ製品も主な押収対象となった。
統計上、上位6品目で全体の約74.5%を占める。 内訳は、録音済みCD・DVDが29.30%、玩具が19.65%、ラベル・タグ・ステッカーが12.82%、たばこ製品が6.19%、ゲームが3.88%、衣類が2.62%である。特にラベル等の押収が多いことは、偽造品そのものを完成品として輸入するだけでなく、部品や包装資材をEU域内に持ち込み、域内で組立て・仕上げを行うという製造・流通形態の存在を示唆している。
押収場所別に見ると、EU域内市場での取締りと域外国境での水際取締りには、地理的な偏りが見られる。 EU域内市場では、イタリアが全押収件数の70%超を占め、フランス(6.2%)、オランダ(4.8%)を大きく引き離した。一方、EU域外国境では、ルーマニアが押収点数の43%を占め、ブルガリア、イタリアが続いた。押収品の推定価値ではスペインが全体の半分超を占め、ドイツがこれに続いている。したがって、押収点数の多い国と、押収品の経済的価値が大きい国とは必ずしも一致しない。
知的財産権の種類別では、商標権侵害が57%で最も多く、著作権侵害が43%、意匠権侵害が7%であった。複数の知的財産権が同一の押収品に関係する場合があるため、これらの割合は合計100%を超える。商標権侵害が中心である一方、著作権や意匠権も重要な取締り対象となっていることが分かる。
一方、EU域外国境における税関当局の押収実績だけを見ると、2025年の押収点数は約4,200万点、推定価値は約20億ユーロに達し、いずれも過去最高となった。押収事例の多くは、電子商取引に関連する国際宅配便や郵便貨物で発生している。輸送手段別では、押収品の推定価値に関しては海上貨物が引き続き主要な位置を占めたが、押収点数では道路輸送が初めて海上輸送を上回った。また、偽造品の主な発送元・原産地として、中国本土、香港、トルコが引き続き上位を占めた。
今回の報告書は、税関当局、警察および市場監視当局が提供したデータに基づいて作成されている。EU域外国境のデータは27加盟国の税関当局から、域内市場のデータは27加盟国中24か国の執行当局から収集されたものである。なお、2025年の押収点数の大幅な増加は、主としてEU域内市場における押収の増加によるものとされている。
知的財産権の執行・権利行使に関する協力体制・連携については、11月24日〜25日に開催予定の「第3回 IPEPフォーラム」においても主要テーマとして取り上げられる予定だ。
詳しくは こちら (Detentions of counterfeit goods in the EU reached an all-time high in 2025)
