2016-08-15

婦人服形態模倣事件

事件番号: 東京地裁平成25年(ワ)第28365号「婦人服形態模倣事件」 不正競争行為損害賠償等請求事件(平成27年7月16日)

事件概要                                 本件は、原告が、被告各商品(9種類の婦人服)を販売した被告に対し、被告各商品は原告各商品(9種類の婦人服)の形態を模倣した商品で、その販売は不正競争防止法2条1項3号に該当すると主張して、損害賠償等を求めた事案である。

争 点                                  ①原告各商品は原告が独自に開発したもので原告が本件請求主体となり得るか。   ②被告各商品と原告各商品の形態は実質的に同一か、そして、           ③被告各商品は原告各商品に依拠したものか。

結 論                                  ①について、原告は原告各商品について企画から製造販売に至る関係書類を所持しており、原告各商品の形態は原告がその資本及び労力により開発したとみることができる。  ②について、両者の各商品の基本的形態は同一又はほぼ同じであり、具体的形態も若干の相違点を除けば同一である上、形態中の特徴的な部分はいずれも共通する。相違する部分は、・・・原告各商品に比し手間若しくは費用を掛けない方向へ変更したもの、又は婦人服という商品の性質上極めて容易に変更できるもので、両者の形態はいずれも実質的に同一である。                                ③について、両者の各商品の形態が実質的に同一であること、相違点の一部は原告各商品に比し被告各商品において手間又は費用が掛けられていないものであり、これらは被告各商品の形態が原告各商品に依拠したものであることを推認させ、これに加え、原告各商品の販売開始日、被告による購入日、被告各商品の販売開始日の事実関係によれば、被告は、原告各商品を購入しその後に対応する被告各商品の販売を開始したことが明らかである(被告商品4についても、同様に推認可能である。)。以上の事情に照らすと、被告各商品の形態は原告各商品に依拠したものと認めるのが相当である。

コメント                                  不正競争防止法2条1項3号に係る商品形態模倣行為は、模倣、すなわち先行商品への依拠性及び形態の実質同一性が該当要件で、本件では、その前提たる原告の請求主体性迄も争われた事案である。いずれも、原告の主張、立証に基づき、裁判所は丁寧に認定し、判断している。特に、依拠の認定においては、原告各商品の販売開始日から被告各商品の販売開始日迄が時系列で事実関係が踏まえられている。また、両者商品の製造地は中国のようで、原告側は製造後の図面やサンプル等の返還や取扱い迄も契約その他で縛る必要があり、他方、被告側は、中国製品の輸入については、模倣の有無にも細心の注意を払うべきことを教えている事案でもあろう。損害賠償請求は認められたが、信用回復請求についてはそれが低下したとする証拠はないと斥けられた。

工藤 莞司