ポイント:馳名商標(日本における著名商標)にとっては、第三者に冒認出願されないように、関連商品の保護範囲をできるだけ拡大する必要がある。商標が関連商品における冒認出願によって、初歩査定し公告されたり、登録されたりした場合、異議申立、無効宣告請求及び行政訴訟を通してその権利を守るべきである。
概要:EAGLEBURGMANN GERMANY GMBH & CO. KG(イーグルブルグマン社)は、「EAGLEBURGMANN(イーグルブルグマン)」商標の中国における商標権者である。当該商標はメカニカルシール製品分野において比較的高い著名度を有している。同業界のある企業が、いくつかの関連商品を指定商品として、「EAGLEBURGMANN」商標を冒認出願し、初歩査定の上公告されたので、イーグルブルグマン社は異議を申し立てた。『類似商品及び役務区分表』によると、被異議申立商標の指定商品は、イーグルブルグマン社の商標の指定商品と類似商品に該当しなかったため、中国商標局は、異議申立手続においてイーグルブルグマン社の異議申立理由を認めなかった。そのためイーグルブルグマン社は、当該商標に対して、無効宣告を請求した。本事件の無効宣告請求の理由について、イーグルブルグマン社の商標の著名度、被異議申立商標とイーグルブルグマン社の商品の関連性及び被請求人の悪意を際立って強調した。商標審判委員会は、イーグルブルグマン社の主張を認め、被異議申立商標とイーグルブルグマン社の引用商標とを類似商品における類似商標に該当すると認定し、被異議申立商標を無効とする裁定を下した。
本事件を通して、次のような示唆を得ることができた。
①馳名商標にとっては、第三者に冒認出願されないように、関連商品の保護範囲をできるだけ拡大する必要がある。
②商標局は異議申立手続において、指定商品の類似を審査する際、通常『類似商品及び役務区分表』にきちんと基づけば、保護の範囲を打ち破る案件は極めて少ない。しかし、商標審査委員会による商標審判手続、及び裁判所による商標行政訴訟の司法手続においては、商品の関連度、係争商標の知名度及び係争商標の出願者の悪意の程度をより総合的に考慮した上で、商品の類似を判断するため、『類似商品及び役務区分表』の基準を打ち破り、類似商品に対して範囲を超えた保護を求める可能性がある。したがって、商標が関連商品で冒認出願された場合、異議申立、無効宣告及びそれに続く行政訴訟を通して、自身の権利をあくまでも保護すべきである。
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