特許庁は、特許行政事務における事務処理量が増大する中、平成28年度より、特許や商標、意匠の出願審査などの業務で人工知能技術を活用する可能性の検討を進めてきたが、「平成29年度人工知能技術を活用した不明確な商品・役務チェック業務の高度化・効率化実証的研究事業(以下「本事業」という。)」について、人工知能技術を駆使したビッグデータ解析事業を手がける株式会社FRONTEO(本社:東京都)が特許庁よりを受託し、実施することとなった。
本事業は、年々出願件数が顕著に増加する傾向にある商標登録出願に関する実証研究となる。現在、商標登録出願の審査において、商標の権利範囲を明らかにするために「指定商品・指定役務」が適切な区分であるか、明確な表示であるかをチェックしているが、かかる過程で、先行商標の調査に用いる類似群コードを付与作業において、商品・役務名が既存のデータベースに存在せず、類似群コードを自動付与できない指定商品・指定役務については、審査官が個別に確認の上で類似群コードを手作業で付与しており、この作業に多くの時間が割かれている。本事業は、人工知能技術、文書解析技術等の活用により、類似群コードの付与の自動付与率向上やその根拠を審査官の求めに応じてシステムが示す仕組みを構築すること等の実証研究を実施する。
FRONTEOは、商標登録出願の審査の際に類似群コードを自動で付与できない業務などについて、独自開発の人工知能エンジン「KIBIT(キビット)」による文章解析技術等を活用することで類似群コードの自動付与率を向上させ、審査官の手作業を大きく減らせる可能性を検証する。また、実用的に利用可能なシステムのあり方について、将来的な導入を考慮したプロトタイプの構築及び検証を含め、導入による費用対効果とシステム再現のための要件等の調査も併せて実施する。
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