2022-07-14

韓国特許庁、「仮想商品」に対する審査指針を施行 - Kim & Chang

新設された仮想商品の商品細目に対する韓国での商標権確保が急がれる。

最近、仮想空間において使用・取引される商品などに対する商標権保護への関心が高まるなか、実際に関連商標出願も多数行われている状況であるが、これまで仮想商品に関する商品名自体やそれに対する審査規定は存在していなかった。このため韓国特許庁では仮想商品の名称の認定基準と類似判断に関する審査指針を策定し、本日2022年7月14日付で施行すると発表した。同「仮想商品審査指針」の主な内容は下記のとおりである。

1.韓国特許庁で認められる仮想商品関連指定商品/役務名称
  これまでは仮想商品に関する商品名が商品細目になかった関係で、仮想空間で使用ないし取引される商品などに対する商標権確保のために、例えば「ダウンロード可能な衣類製品イメージファイルやコンピュータプログラム」などのような商品を指定して商標出願が行われていたが、今後は「仮想衣類」、「仮想靴」のように「仮想+現実商品名」の形態からなる名称が韓国特許庁で認められることになり、より直接的に仮想商品に対する権利確保が可能になった。ただし「仮想商品」という名称自体は包括名称であって使用することはできない。具体的に認められる、または認められない指定商品/役務の例示は下表のとおりである。

2.仮想商品に関連する類似判断基準
 今回の審査指針では、仮想商品間、または仮想商品および現実商品間の類似判断に対する基準も提示した。具体的には下表のように、①仮想商品間の類似判断はその対象となる現実商品間の類否により判断する。②さらに、仮想商品および現実商品間は関連審決例・判例の形成前までは非類似商品として審査する。③ただし周知著名な商標が結合し仮想商品および現実商品間に出所の誤認混同のおそれがある場合には、周知著名商標保護規定に基づいて拒絶するよう規定している。

3.日本企業らが取るべき措置
  今回の韓国特許庁の新たな審査指針において注目すべき点は、①「仮想商品」という新しい商品細目が新設され類似群コードも新たに付与されたという点、そして②このような仮想商品および現実商品間は類似商品とみなさないという点である。したがって、すでに韓国に登録されている商標権があるとしても、当該権利では新しい「仮想商品」関連商品および役務に対する権利行使に制限がある可能性があり、併せて仮想商品関連区分への第三者の出願も、先登録に基づいて阻止することができなくなる可能性が高いという点に留意する必要がある。このような権利保護の空白を埋め備えるためには、一日でも早く韓国特許庁に「仮想商品」関連商品および役務に対する新規商標出願を行い新たに権利を確保しておくことが望ましく、個人/企業を問わず日本の商標使用者による迅速かつ積極的な対応が必要と考えられる。