2022-08-01

ベトナム:非ラテン文字の商標保護について - Ageless IP Attorneys & Consultants

1.  ベトナムにおける商標保護に関する一般的要件
 現行のベトナム知的財産法によれば、商標は以下のような一般的条件を満たす場合に保護される(知的財産法第72条)。

* 立体図形又はそれらの組合せを含み、1 又は複数の色彩により表現された文字、語、絵柄、図形の形態による目に見える標章であること
* 標章所有者の商品又はサービスを他人のそれらから識別できること

 ここで注意すべきは商標の識別性である。標章は、それが 1 または複数の目立ち易く、かつ、記憶し易い要素、又は目立ち易く、かつ、記憶し易い組合せを形成する多数の要素から構成され、且つ知的財産法第74条第2項に規定する標識でなければ識別性があるとみなされる。

2.  韓国語、中国語やその他の非ラテン文字のみの商標に識別力があるか?
 ベトナム語はラテン語の文字体系を採用しているため、平均的な知識を持つベトナム人は非ラテン文字を読むことができない。そのため、中国語や韓国語などの非ラテン文字のみを使用した商標は記憶に残らないと考えられ、ベトナムでの商標保護の条件を満たす可能性は低いと考えられる。

 実際、ベトナムで平均的な知識を有する大多数の消費者にとって、韓国語/中国語の文字を読み、記憶し、識別することができないため、これらの文字のみから成る韓国語/中国語の文字を付した商品/サービスを識別することは非常に困難である。商標の目的は、所有者の商品・サービスを他人の商品・サービスから識別することにあるが、これを達成することはできない。

 したがって、ベトナムの法律では標章が使用され広く認識されているか、図形やその他の特殊な形式で形成されており登録要件を満たすとベトナム国家知的財産庁(IPVN)が判断しない限り、韓国語、中国語、その他の非ラテン文字のみから成る商標をベトナムで保護することを認めていない。 

 解決策として、韓国語/中国語の文字と、ラテン語の音訳、英語の翻訳、または図形のような識別力のある要素と組み合わせることを検討することもできる。

3.  なぜ中国語、韓国語の文字のみから成る商標が保護されているのか?
 2006年7月1日に2005年知的財産法が施行される以前、下記のような商標がベトナムで保護されていた。

 また、旧規定で保護された商標以外にも、2005年知的財産法施行後もベトナムで商標の保護が認められた特殊な例がある。例えば;

 一般的に、ベトナムにおける韓国語や中国語などの非ラテン文字の商標保護は非常に困難だが、その分、創造性は無限であり、非常にユニークな商標が作成されることが予想される。

本文は こちら (Trademark protection in Vietnam for Chinese, Korean and other Non-Latin characters)