2024-03-25

EU:出願する意匠の公開には十分に注意を!(無効になったプーマの意匠) - Knijff Trademark Attorneys

 2016年、「プーマ(PUMA)」は「クリーパー(CREEPER)」シューズの独占的権利を取得するために意匠登録を行った。 

 オランダのシューズ卸売業者J van Hilst(以下、「HJVH」)は、それより1年前にインスタグラムに掲載した写真でバルバドス出身のミュージシャン兼女優、リアーナが同じデザインの靴を着用していたため、クリーパーシューズは新規性の要件を満たしていないと主張し、訴訟を提起してプーマの計画を狂わせた。 

 法律上、意匠は新規性があり且つ市場にある他の意匠と全体的な印象が異なっていなければ登録できないとし、新規性は、同一又は類似する意匠が出願日までに公開されていないことを条件にしている。しかし、プーマのクリエイティブ・ディレクターに就任したリアーナは、プーマが出願する1年以上前に同一のデザインの靴を履いている写真を自ら投稿していた。さらに、その写真は多数のオンライン出版物で共有された。HJVHは、意匠がすでに公開されていたため、この意匠には新規性がないと主張した。

 EUIPO(欧州連合知的財産庁)はHJVHの主張を支持し意匠登録を無効にした。プーマ・ドイツは、リアーナが写真を投稿したときは誰もリアーナのシューズに興味を示さなかったと主張して上訴した。EU一般裁判所は、リアーナが2014年12月時点で世界的に有名なポップスターであり、写真が撮影された日にはクリエイティブ・ディレクターとしての契約を結んでいたとして、この訴えを棄却した。裁判所は、靴の本質的な特徴はすべて特定できたとして、画像が意匠の開示を立証するのに十分な証拠になることを認めた。  

 この判決は、適切な時期(公開日から12ヶ月以内)に意匠出願を行うことの重要性を明確に示している。また、開示の瞬間から12ヶ月のカウントダウンが始まるため、意匠を公開する時期には十分注意すべきであることも強調している。

本文は こちら (works: Puma’s ‘Creeper’ shoe is no longer a design registration)https://www.knijff.com/en/blogs/rihannas-instagram-post-throws-a-spanner-in-the-works-pumas-creeper-shoe-is-no-longer-a-design-registration