2026-04-22

EU:「Breitling for women」に対するブライトリングの法的対応 - Knijff Trademark Attorneys

スイスの時計メーカー、ブライトリング(Breitling)は、数十年にわたり高級時計の世界において確固たる地位を築いてきた。「BREITLING」ブランドは、精密性と美的価値とが両立する高品質な製品で知られている。長年にわたる集中的かつ継続的な使用を通じて、ブライトリングは欧州域内のみならず欧州域外においても強固な名声を構築してきた。この名声は、「Breitling for women」という商標に関する最近の事件において中心的な役割を果たした。 

あるハンガリー企業が、化粧品と香水を指定して「Breitling for women」商標を登録した。これに対し、ブライトリングは、商標の無効審判を請求した。法的根拠は、一般に想定されるような「BREITLING」商標の広範な保護に基づくものではなく、むしろ出願がハンガリー企業によって悪意で行われたという点にあった。

EUIPO(欧州連合知的財産庁)取消部と審判部はいずれもブライトリングの主張を認め、「Breitling for women」商標の登録出願は実際に悪意に基づいてなされたものであると判断し、その結果、「Breitling for women」商標が時計とは異なる商品を指定していたにもかかわらず無効を宣言された。 

本決定の法的核心は、「悪意」の概念にある。これは、出願時点における出願人の意図の評価を伴うものである。本件においては、出願人に悪意が存在したことを立証する責任はブライトリングにあり、その立証は主としてブライトリング・ブランドの強固な名声を示すことによって行われた。審判部は、このような強い名声に照らし、出願人が「BREITLING」商標の存在を認識していた、あるいは少なくとも認識してしかるべきであったとみることが合理的であると判断した。
しかしながら、決定的であったのは出願人自身の過去の行為である。このハンガリー企業は、過去に複数の著名ブランドに関する商標出願を行っており、その際しばしば「for women」や「for men」といった文字を付加していた。このような事情は、独自のブランドを構築するのではなく、既存ブランドの信用に便乗することを目的とした戦略を示唆するものだ。

ブライトリングの戦略は注目に値するものである。すなわち、自社商標の広範な保護に依拠する方が容易であったのではないかという疑問も生じるが、ハンガリー企業が著名商標に関する複数の出願を行っていた事実が明らかとなった時点で、出願パターンを主張に組み込むことは合理的であった。これにより、悪意に基づく無効請求の成功可能性が高まった。
明確な勝利へ導いたブライトリングの判断は正しかったといえる。
一方で、本件は強い警告としての意味もある。すなわち、著名商標には手を出すべきではない、ということだ。

本文は こちら (“Breitling for women”: Breitling takes action)