英国のEU離脱(ブレグジット)とその移行期間の終了から、すでに5年以上が経過した。ブレグジット以前から存続している知的財産(IP)契約について、これまで見直しを行っていないのであれば、今こそ着手するのが望ましい。特に、それらの契約の多くは、英国のEU離脱という事態が現実味を帯びる前に起案・交渉された可能性が高いからだ。
なぜIP契約を見直すべきなのか?
自社のIPに関する契約は、条件が遵守されているか、その内容が依然として自社のビジネスにとって商業的合理性を有しているか、契約当事者が引き続き適切であるかを確認するために、定期的に見直しを実施すべきだ。もし不適切な点があれば、契約の解除、修正、あるいは適切な第三者への契約上の地位を移転(契約更改)などが可能となる場合があるからだ。
ブレグジット後、EUを対象とする契約については、契約上の権利および義務に対する離脱の影響を評価するために見直しを行うべきで、特に契約の「地理的範囲」については慎重な検討が必要だ。ブレグジット以前の契約では、加盟国を個別に特定したり、構成の基準日を定めたりすることなく、地理的範囲を単に「EU」と規定するものも多い。
ブレグジット以降も、IP契約が追加的な明確化なしに単に「EU」を対象としている場合には、その契約の地域的適用範囲について一定の不確実性が生じ得る。裁判所は、契約全体の文言構成および契約締結時における当事者意思を踏まえて、「EU」を対象とする契約を様々に解釈し得るからである。その結果、「EU」という文言にはもはや英国は含まれないと判断される可能性があり、契約の履行に関する問題が生じるおそれがある。
IP契約の地理的範囲が「EU」となっている場合の対応
既存のIP契約において、地理的範囲が「EU」とされているものが確認された場合、(必要であれば)英国を明示的に含める修正合意を作成するとともに、「EU」の定義についても、加盟国の離脱又は加入が生じた場合などを適切に反映する「将来対応型」にすることもできる。
その他の考慮すべき要因
ブレグジットの影響は広範囲に及んでいる。具体的には、人の移動制限(主要なスタッフの維持が困難になる可能性)、英国によるEUの法的・規制的枠組みからの段階的な乖離(付加価値税、データ保護、競争法など)、貿易障壁、ポンドの価値変動などが挙げられる。
これらの要素は、既存契約条項の適切性に影響を及ぼす可能性があり、その結果として、契約条項の再交渉が必要か否かを検討することが重要となる。
仮に再交渉が不可能である場合でも、(可能であれば)通知による契約終了権を行使すべきか、あるいは、不可抗力条項又は契約解除条項に依拠できるかについて検討すべきだろう。
本文は こちら (Have you reviewed your IP agreements following Brexit?)
