多くのギタリストにとって、フェンダー(Fender)は単なる製品名をはるかに超えたものを想起させるブランドである。その最も有名なモデルである「フェンダー・ストラトキャスター(Fender Stratocaster)」は、ポップミュージックの歴史の一部であり、何世代ものミュージシャンによって演奏され、その形状だけで即座に識別できるほど特徴的である。
フェンダーが、自社の象徴的なギターモデルを保護したいと考えるのは当然であるが、愛好家やファンに対して法的措置を講じることは、言うまでもなく極めて繊細な問題である。フェンダーは最近、いわゆる「Sタイプ」ギター(Sはストラトキャスターの頭文字)の製造業者らに対し、強硬な文面の警告書(cease-and-desist letters)を送付したことで、多大な批判を浴びた。フェンダーの主張によれば、本件の問題はストラトキャスターの正確なデザイン保護にあり、類似する基本形状を持つすべてのギターを攻撃する意図はない、とのことである。それにもかかわらず、愛好家たちの間での反発は激しいものであった。
法的観点から見れば、警告書の送付は、往々にして合理的な第一歩である。自らの権利の存在を相手方に認識させ、通常はある程度の圧力を伴って、その使用の中止を求める。これには、製造、販売、広告宣伝活動の停止が含まれ、場合によっては製品の回収や廃棄が含まれることもある。しかし、警告書は単なる法的書面にとどまらない。それは、自社のブランドを代表して行われるコミュニケーションでもある。そして、まさにその点において、事態が紛糾するリスクが生じる。とりわけ、その受領者が悪質な模倣者ではなく、他ならぬむしろ当該ブランドの世界観の中で活動する小規模事業者、製作者、あるいは熱心なファンである場合にはなおさらである。
同様のことは、リチュアルズ(Rituals)の事例にも見られた。リチュアルズは最近、2名のアユルヴェーダ(Ayurveda)・セラピスト(インド・スリランカ発祥の伝統医学アユルヴェーダに基づき健康とリラクゼーションを提供する専門家)による「House of Ayurveda」という名称の使用停止を求めた。リチュアルズは、自社が保有する「house of Rituals」や「The Ritual of Ayurveda」などの商標を根拠としたが、メディアの注目を集めた後、最終的にその申立てを取り下げた。法的には、このような申立ては理解できるものである。商標権者は、混同のおそれやブランドの希釈化に対して常に警戒を怠ってはならないからである。しかし同時に、より広範な文化的意味や記述的意味を持つ用語に対して、大企業が権利行使に乗り出しているように見える場合は違和感が生じるかもしれない。その段階になると、議論の対象はもはや商標権の問題だけではなく、均衡性(「自社が被る(または予見される)実際の不利益」と「相手に対して講じる法的措置の重さ」のバランスが取れているかという問題)と社会的な共感の問題へと移行してしまうのだ。
これとは異なるやり方となった有名な事例として、2012年にジャックダニエルが、同社の高名なウイスキーのラベルに酷似した書籍の表紙に対して措置を講じたケースがある。警告書のトーンは友好的で、むしろ礼儀正しいとさえ言えるものであった。ジャックダニエルは新しいデザインへの変更費用を一部負担する用意があると申し出たのだ。メッセージそのものは、「我が社のブランドは保護されなければならない」と明確であった。しかし、そのメッセージの伝達方法が好意的な注目を集める結果となった。
ここからの教訓は何であろうか。
商標、意匠、製品デザインを保護し、場合によっては侵害者に対して措置を講じることは必要である。とりわけブランド価値が大きい場合にはなおさらである。しかし、どのような方法で行動するかによって、そのブランドがどのように受け止められるかが決まる。常習的な侵害者ではない個人事業主に対する警告書は、3ページに及ぶ法律用語で埋め尽くされている必要はない。むしろ、問題点を丁寧に説明し、解決策を提案する共感的な内容の書簡であってもよいのである。
したがって、商標権者は、自社ブランドそのものだけでなく、自社のイメージ、自社がどのように映るか、そして書簡を受け取る相手方が誰であるかについても考慮する必要がある。最悪の場合、そのような書簡はメディアに取り上げられる可能性がある。そのため、企業として説得力のある説明ができる状態にしておくことが重要である。
文脈、語調、対象者に配慮して権利行使を行う者は、単に商標登録を守るだけではなく、それと同じくらい重要なもの、すなわち「ブランドを取り巻くグッドウィル(顧客吸引力・信用)」をも保護することになるのである。
本文は こちら (Infringement marketing: the art of defending your brand without damaging it)
