2026-06-17

アルゼンチン:知的財産権の権利移転及び名義変更手続きを簡素化

アルゼンチン国家知的財産庁(INPI)は、2026年5月末に公示(6月1日施行)した「決議第162/2026号(Resolution INPI No. 162/2026)」に基づき知的財産権の権利移転(譲渡)および名義変更に関する新しい枠組みを導入した。
本決議は、従来の複雑な手続きを大幅に簡素化・迅速化し、国際的な基準に合わせることを目的としたものだ。

主な変更点は以下のとおり;
1. アポスティーユの不要化
これまで、海外で発行された譲渡証書や会社名変更を証明する公文書、あるいは代理人への委任状には、アポスティーユ認証や領事認証が必要であったが、新しい枠組みではこれらが全面的に不要となった。これにより、外国企業の事務負担とコストが大幅に軽減される。

2. 宣誓供述書運用の合理化
提出書類における宣誓供述書(Declaración Jurada)のプロセスが合理化された。別途書面を作成して署名・提出する必要はなく、オンライン申請フォームに入力・送信する行為そのものが法律上の宣誓供述として扱われるようになる。

3. 単独申請の容認
譲渡による所有権移転の手続きにおいて、譲渡人と譲受人の双方が関与する必要はなく、いずれかの当事者からの申請が可能となった。また、申請提出のその日から効力が発生する(オンライン申請テンプレートの使用)など、実務がスピードアップする。

4. 翻訳要件の維持
アポスティーユは不要になったものの、外国語で作成された文書(譲渡書や商業登記簿謄本など)に対する現地の公認翻訳士によるスペイン語への翻訳要件は維持されている。
日本から申請する場合、日本語の原本に英語訳を添付して公証したものをベースに、アルゼンチンでスペイン語に翻訳する実務が推奨される。

5. 複数変更時の追跡可能性の厳格化
会社名や住所変更など複数の変更が同時に発生する場合、追跡可能性を求められるため中抜きの手続きは認められない。原則として、それぞれ個別の申請手続きを行う必要がある(ただし、同一の取引・同一の書面内に譲渡がまとめられている場合は、1つの申請に統合できる簡素化措置もある)。

すでに登録されている情報に誤りがある場合は、移転等の手続きの前に訂正手続き(補正)を完了させなければならない。

6.補正指令などの応答期間
補正指令など手続きに指摘事項がある場合の応答期間は「10営業日」と定められ、3回連続して延長(最長40日)することができる。