2026-06-16

インド:国境で一線を画す、商標の消尽、先使用、仲介業者の役割 - Chadha & Chadha IP

最近の判例である「Products & Ideas」対「Nilkamal Ltd. & Ors.」事件は、並行輸入、属地主義、および国際サプライチェーンにおける仲介業者の義務が交錯する論点を扱っており、これらはすべて、知的財産法において現在進行している議論の中核をなすものである。

背景と事実関係
控訴人(原告)であるProducts & Ideas社は、2017年、中国において商標「STELLA」を所有する中国法人のStella Industrial Co. Ltd.(以下「SIC社」)との間で、独占代理店契約(以下、本件契約)を締結した。本件契約により、控訴人は、インドにおける「STELLA」ブランドの業務用電磁調理器の流通、販売、およびプロモーションに関するSIC社の独占代理人に任命された。また、控訴人は、インド国内で当該電磁調理器を販売する際のデザインおよびロゴを決定する権限も付与された。本件契約に基づき控訴人に与えられた権限の結果として、控訴人は2017年にインド国内において「STELLADEXIN」の商標下で電磁調理器の販売を開始した。その後、2022年に控訴人は、第11類(電磁調理器を含む)など複数の区分において、商標「STELLADEXIN」の商標登録を完了した。さらに、控訴人は、これに関連するロゴについて、2024年7月12日付の著作権登録も保持していた。 

本件紛争は、被控訴人2であるCambro-Nilkamal Pvt. Ltd.社(被控訴人1であるNilkamal Ltd社と被控訴人2は合弁会社を構成している)が、インド国内において「STELLA」の商標下で電磁調理器の販売を開始したことにより発生した。控訴人は、被控訴人2に対し、商標権侵害および不法行為(詐称通用:パッシングオフ)を理由として訴訟を提起した。

手続の経緯
単独裁判官(Single. Judge:第一審)に、被控訴人2は、授与されたとする権限付与書の真正性を争い、記載の誤りや権限の欠如を指摘した上で、控訴人には本件契約に基づく「STELLADEXIN」の商標登録を行う権限がなかったと主張した。さらに、被控訴人2は、登録権利者が、登録権利者による使用または登録のいずれか早い方の日より前の日付から当該商標を継続的に使用している者による商標の使用を禁止することはできないと規定した商標法第34条(既得権についての例外)を根拠に、被控訴人は、SIC社が過去にインド国内で当該商標を使用していたこと、および両当事者ともSIC社から真正品を輸入しているのであるから商標権侵害は成立し得ないと主張した。これらの主張を裏付けるため、SIC社は2013年以降のインド国内での販売実績を提出し、当該商標の先使用(「STELLADEXIN」は「STELLA」の派生商標であるとする)を主張した。また、被控訴人2は正規の販売会社であり、控訴人は既に解除された契約に基づく単なる再販売者にすぎないと強調した。

単独裁判官は、当初認めていた暫定的な差止命令を取り消し、主に以下の3つの理由に基づいて控訴人の請求を棄却した。
1. SIC社は、(商標法第34条に基づき)2022年以降に中国において、また2013年以降にMittal International社を通じてインドにおいて、商標「STELLA」の先使用を行っていたこと
2. インド国内におけるSIC社による商品の販売が侵害とみなされないのであれば、被控訴人2は単にSIC社のブランド商品の再販売者にすぎず、独立して侵害を構成し得ないため、被控訴人2に対しても侵害を主張することはできないこと
3. 商標法第30条第3項に基づく国際消尽の原則(合法的な売買取引が一度成立した後は、当該知的財産の所有者は当該知的財産下にある商品のその後の転売を規制または停止することはできないとする原則)により、商標権侵害の請求が阻まれること

単独裁判官の命令を不服とした控訴人は、合議審(Division Bench:上級審)で単独裁判官の判断を争うため上訴した。

分析と主要な判断
第34条に基づく先使用について、裁判所はまず、SIC社による中国国内での商標「STELLA」の使用がインド国内における商標権侵害の存否を判断する上で何ら関連性を持たないことを明確にした。裁判所は、外国における商標の使用が意味を持つのは、当該ブランドがインド国内に浸透(普及)していることを主張する不法行為事案に限られるが、本件はそれに該当しないと付け加えた。

さらに、裁判所は、SIC社の先使用の主張が、2012年から2016年の期間にわたる4枚のインボイス(送り状)のみに依拠している点に留意した。この点に関し、合議審は、商標法第34条の文言を普通に解釈すれば、被控訴人はインド国内における商標「STELLA」または「STELLADEXIN」の単なる先使用ではなく、継続使用を示すことが明確に求められると判示した。いずれにせよ、裁判所は、SIC社によるインド国内での当該商標の先使用の証拠すら存在せず、ましてや継続使用の証明など存在しないと判示した。合議審は、これら4枚のインボイスを精査し、次の2つの理由から不十分であると判断した。第一に、これら4枚のインボイスのうち2枚には、商標「STELLA」または「STELLADEXIN」の記載が一切なく、本件訴訟の目的において無関連であること。第二に、残りの2枚のインボイスは単なる見積書(proforma invoices)にすぎず、その内容を裏付ける他の補強証拠がない限り、完了した商業取引を代表するものとは認められないこと。これに加えて、合議審は、仮に被控訴人が依拠する4枚のインボイスが信頼に足るものであるとみなされたとしても、それらは一応の確実性(prima facie)をもって、2017年より前にSIC社が当該商標を「継続的に使用」していたことを証明するものではないと断言した。
したがって、合議審は本件において商標法第34条の規定は適用されないとの判断を示した。

合議審は、原審の単独裁判官が被控訴人2に対する商標権侵害の主張を退けた前提として、商標法第34条に基づく商標「STELLA」の先使用により、SIC社が控訴人の権利を侵害しているとは言えない以上、再販売者である被控訴人2もまた独立して侵害を構成し得ない、と考えた点に留意した。しかし、控訴裁判所(合議審)は、この論理展開には多角的な誤りがあると判断した。第一に、商標法第34条の誤った適用により、SIC社が責任を負わないとする根本的な前提自体が維持不可能となった。第二に、裁判所は、商標法上の侵害責任は必ずしも「派生的なもの」にとどまらないことを明確にした。一次的な供給元・サプライヤーが責任を問われない場合であっても、輸入業者や再販売者が独立して侵害責任を負うことがある。商標法第29条第6項(c)は、登録商標が付された製品を「輸入」する行為を、商標の「使用」の定義に明確に含めている。この規定は、ダウンストリーム(下流)のプレイヤーが製造元とどのような契約を結んでいようとも、侵害の網(法律上の責任)に含めるという、立法府による意図的な決断を表している。外国の管轄権において権利を有する者によって海外で合法的に製造された製品であるという単純な事実は、輸入業者がインド国内に侵害物品を持ち込むことの免責理由にはならない。

第3の論点について、合議審は、単独裁判官が商標法第30条第3項に基づく国際消尽の原則に依拠した点を審理した。裁判所は、インド国内のいかなる者も商標が付された真正品を輸入および販売することができ、そのような正規の輸入業者による再販売は商標権侵害に該当しないとする単独裁判官の見解に異議を唱えた。裁判所は、商標法第30条第3項は無制限の国際消尽の原則を定めたものではなく、むしろ「登録商標が付された商品が、ある者によって適法に取得された場合」にのみ適用される、限定的な抗弁を提供するものであることを明確にした。裁判所は以下のように説示した。

「『登録商標』に、インド国外における登録を含めることはできない。なぜなら、商標法第2条(w)において『登録商標』とは『現に登録簿に存在し、かつ効力を維持している商標』を意味すると定義されており、かつ『登録簿』は、商標法第2条(t)において『第6条第1項にいう商標登録簿』を意味すると定義されているからである。したがって、本法の目的、ひいては商標法第30条第3項の目的において『登録商標』となり得るのは、インド国内において登録された商標のみである。」

以上の観点から、被控訴人2は控訴人の許諾を得て当該商品を輸入したわけではなく、また、SIC社はインド国内において商標登録を有していなかった。一方で、控訴人は、1999年インド商標法の規定に従った適法な登録権利者であった。

合議審の判決
合議審は、単独裁判官によって下された判決を破棄し、当初に出されていた一方的当事者審尋による暫定差止命令を復活させた。

結論
本判決は、1999年商標法の複数の規定、ならびに商標権侵害および不法行為の申立てをめぐる法理について扱い、それらを明確化することによって、インドの商標法理に大きく貢献するものである。裁判所は、商標法第34条に基づく先使用を主張するためには、当事者がインド国内における先「継続」使用を立証できなければならないことを明確に打ち出した。無関連な少数枚のインボイスでは、先位の権利を主張するには不十分である。また、再販売者や輸入業者は、本人(製造元・供給元)とは独立して、商標権侵害または不法商品化の責任を問われ得ることも明確にされた。インドへの物品の輸入は、商標法第29条第6項(c)に基づき、インド国内における商標の「使用」の定義に明確に含まれる。さらに、裁判所は、「登録商標」という用語はインド国外におけるいかなる登録も含まず、インドの商標登録簿に記載されているものに限られる点を強調した。裁判所は、商標法第30条第3項の適用範囲を、インドの登録権利者の同意を得て商品が市場に出された場合に厳格に限定した。総じて、本判決は、先使用、仲介業者の義務、および消尽の法理に関する論点に対処しつつ、商標保護に関するインドの属地的枠組みに明確な指針を与えるものである。

本文は こちら (Drawing the Line at the Border: Trademark Exhaustion, Prior Use, and the Role of Intermediaries)