最近世間を賑わせている事件で、著名なアウトドア衣料品企業のパタゴニア(Patagonia)と、環境活動家で知られる米国のドラァグクイーン、パティ・ゴニア(Pattie Gonia)氏との間の紛争がある。パタゴニア側は(両者の)共存を試みていたと見られるが、パティ・ゴニア氏が第25類(衣料品)の商品を指定して「PATTIE GONIA」の新規商標出願を米国で行ったことを受け、パタゴニアはパティ・ゴニア氏に対し商標権侵害訴訟を提起した。
パタゴニアが、数十年にわたり慎重に築き上げてきたブランドの商標権を行使することについて、誰もパタゴニアを非難すべきではない。仮に第三者が「PATTIE GONIA」の商標出願を行ったならば、パタゴニアの異議申立てに対して誰も眉をひそめることはないであろうし、パタゴニア側が勝訴する可能性が高いと考えている。しかしながら、パティ・ゴニア氏は環境活動家としての地位を確立しており、パタゴニアが訴訟によりパティ・ゴニア氏を消そうとしていると非難している。
パタゴニア側は、パティ・ゴニア氏と数年間にわたり協議を重ねてきたと主張しているが、自らの知的財産およびブランドを保護するためには、この対抗措置(異議申立て)が必要であると考えている。一方、パティ・ゴニア氏は、本件紛争はブランディングに関するものではなく、一人の環境活動家を抹殺することに関するものであるとの見解を示している。
ブランドの保護と商標権の行使と、それに伴うネガティブなPR(パブリック・リレーションズ)とのバランスを保つことは、極めて微妙な境界線となり得る。また、本件は、商標権侵害となり得る使用や不許諾使用に対して、初期段階で対処することの教訓となるかもしれない。詳細が明らかになっているわけではないが、おそらく、パタゴニアがパティ・ゴニア氏とその活動を認識した時点で、パティ・ゴニア氏に対して異なる名称を使用するように求めていれば、パタゴニアが現在直面している潜在的なPR上の反発を回避できた可能性もある。
(訳者注)
直近の報道によると、パタゴニア側から和解条件が提示されたものの、パティ・ゴニア氏側がこれを拒否したとされており、依然として緊張状態が続いている。
SNS上では「環境や多様性を重視するパタゴニアが、なぜドラァグクイーンの環境活動家を提訴するのか」という感情的な批判(いわゆる炎上)が一部で見られる一方、知的財産の専門家や法律の観点からは、「限定的な使用を許容されていたにもかかわらず、約束を破って類似するロゴで衣料品分野に商標を出願した以上、パタゴニアが商標を守るために提訴するのは当然の防衛策であり、1ドル訴訟という点も含めてかなり配慮している」という見方が大勢を占めている。企業の社会的責任(CSR)やブランディングと、厳格な知的財産権の維持・管理という実務のバランスがいかに難しいかを示す典型事例だ。
本文は こちら (Patagonia and Pattie Gonia – when trade mark infringement and climate activism clash)
