2026-07-23

タイ:環境への配慮と商標の「権利消尽」を巡る不透明性 - Tilleke & Gibbins

環境意識の高まりや、審議中の「持続可能なパッケージング管理法(案)」による拡大製造者責任の導入を背景に、リサイクル(再生利用)、アップサイクル(元の形状や素材の特性を活かしたまま品質や価値の高いものへ作り替え)、リフィル(詰め替え)などの持続可能なパッケージングが推進されている。しかし、他人の会社のロゴやマークが付いたままの容器・素材を勝手にビジネスで再利用すると、他人の商標権を侵害する法的リスクが生じることになる。

タイの商標法には、製品が最初に適法に販売された段階で商標権が消滅する「権利消尽の原則」が明文化されていない。最高裁判例で並行輸入への適用は認められているものの、改変や詰め替えを伴う環境配慮型製品への適用範囲は不透明な状態だ。

元の形状を破壊する「リサイクル」に比べ、元の形状やロゴを一部残す「アップサイクル」は、ブランドの評判を損ねたり消費者を誤認させたりするリスクが高くなり、商標権侵害とみなされる可能性も高まる。また、他人の商標付き容器に中身を補充する「リフィル」も、一般公衆への誤認を禁じるタイ商標法第109-1条に抵触するおそれがある。企業は今後、複雑化する環境規制への対応と、知財リスクの回避を同時に舵取りしなくてはならない。

環境法と商標法の二重のコンプライアンス
「持続可能なパッケージング管理法(案)」が成立すれば、製品が使われてゴミになった後に、企業はパッケージを回収・リサイクルするまでのライフサイクル全体に対して、企業が責任を持たなければならず、リサイクルやアップサイクルのために他社製品の混じったゴミをかき集めて加工する際、うっかり他社のロゴが入ったまま別製品にして販売すると商標権侵害になり得るという状況に立たされるため、材料の選定や回収スキームの設計において、環境面と知財面の両方を統合した高度な戦略が求められる。

AIPPI総会決議:「サステナビリティは商標権を凌駕しない」
2025年のAIPPI(国際知的財産保護協会)総会の決議が示す通り、環境への配慮(サステナビリティ)が商標権を当然のように上回るわけではなく、また、個人の消費者が自分の持ち物をエコ目的で改変(リメイク)するのは自由だが、それを「商業活動(ビジネス)」として転売・流通させる場合は、商標権者の権利を守るため、厳格なセーフガード(消費者を誤解させない工夫、ブランドの評判を傷つけないことなど)が必要である。

全文は こちら (Trademark Perspectives on Sustainable Packaging in Thailand)