(令和8年5月20日 東京地裁 令和7年(ワ)第70554号 「Regain」商標権侵害事件)
事案の概要
原告は、本件商標(下左傾図参照 登録第6065350号 5類薬剤、サプリメント)に係る商標権を保有している。令和6年9月から同年11月まで、インターネット上のフリーマーケットサービスであるメルカリにおいて、被告が登録したアカウントを利用して、指定医薬部外品商品が販売され、販売のために展示されていた。被告商品は、その包装には被告標章(下右掲図参照)が付され、その効能・効果は原告 商品の効能・効果と同一である。本件は、原告が被告に対し、被告が商品の包装に被告標章を付したものを販売したこと等により、原告の保有する商標権が侵害されたと主張して、民法709条に基づく損害賠償金及び遅延損害金の支払を求める事案である。

判 旨
本件商標は、 ①「Regain」という文字及び②これを囲うように配置された7色の略七角形の図形によって構成された結合商標であり、上記①の部分からは「リゲイン」という称呼が生じ、英語の「regain」の意味である「取り戻す、回復する」という観念を生じること、上記②の部分からは特定の称呼及び観念が生じないものと認められる。
他方、被告標章は、本件商標と同一の上記①の文字及び上記②の図形に加えて、③上記②の図形の内部、上記①の文字の下に、③「カラダをつくる、」、「明日をつくる」という2行の文字を組み合わせて構成された結合商標であるが、このうち、上記③の文字は商品の効果についての一般的な説明にすぎず、この部分から出所識別標識としての称呼、観念は生じないものと認められるから、被告標章の上記 ①及び②の文字及び図形を抽出して商標の類否を判断することは許される。そして、本件商標と被告標章において、上記①及び②の文字及び図形は同一であり、その外観、称呼、観念も同一であるから、本件商標と被告標 章は類似するものと認められる。
指定商品の類否 被告商品が指定医薬部外品として販売されていたことからすれば、本件商標権に係る指定商品である「薬剤」と同一のものと認めるのが相当である。以上に照らせば、被告の行為は、本件商標権侵害(商標法37条1号、2条3項1号、2号)による不法行為を構成するから、被告は、原告に生じた損害を賠償する義務を負う。原告の請求は、33万3825円及びこれに対する令和7年11月20日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員の支払を求める限度で理由があるから、この限度で認容する。
コメント
本件事案は、商標権侵害訴訟で、原告の請求が認容された事例である。損害賠償額は少ないが、これは原告の素早い対応からだろう。それにしても、インターネット上のフリーマーケットサービスメルカリにおいて、被告登録のアカウントを利用(商標法2条3項2号)という極めて今日的な侵害行為である。多分初めてのケースと思う。これに素早く対応した原告の権利行使が評価される。
