2026-07-22

EU:アステリックス出版社が逆転勝訴、EUIPOの「OBELIX」(無効請求棄却)審決をEU一般裁判所が取消し

EU一般裁判所は2026年5月13日、フランスの人気コミック「アステリックス(Aterix)」
の知的財産権を管理するLes Éditions Albert René(原告)が欧州連合知的財産庁(EUIPO)を相手取って提起した商標無効化訴訟(T-24/25)において、EUIPOの審決を取り消した。争点は、ポーランド企業が第13類「武器、弾薬、爆発物」について登録したEU商標「OBELIX」の有効性である。

原告は、著名商標「OBELIX」の名声へのただ乗り及び商標毀損のおそれがあるとして無効を求めたが、EUIPOは「OBELIX」単独の商標としての周知性が十分立証されていないなどとして無効請求を棄却した。

これに対し一般裁判所は、EUIPOの証拠評価は不完全かつ誤っていると指摘した。とりわけ、「ASTERIX & OBELIX」の形で使用されている証拠を理由に「OBELIX」単独の商標としての使用を軽視した点を問題視し、結合使用であっても「OBELIX」が商標として機能し得る可能性を十分検討すべきであったと判示した。また、著名性の判断及び先行商標と後願商標との「連想」の有無についても、商品の隔たりだけでなく、商標の同一性・類似性や先行商標の高い識別力を総合的に考慮すべきであるとして、本件はEUIPOへ差し戻された。

もっとも、EUIPOは一般裁判所の判決を踏まえた上で新たな理由付けを行うことは可能であるため、再度無効請求を棄却する法的余地は残っている。その場合には、再び一般裁判所への審決取消訴訟が提起される可能性はあり得る。
したがって、本件判決は「出版社の最終勝訴」ではなく、EUIPOの審査基準を修正させた重要な中間判決と位置付けるのが、法律実務上は適切な評価だろう。

EUIPO審判部の判断に関する記事は こちら