2026-08-24

米国:アイスクリーム容器の「トレードドレス」侵害で約2400万ドルの利益吐き出し命令、その後Rebelが破産申請

米国ニューヨーク東部地区連邦地方裁判所は2026年7月16日、アイスクリームのパッケージデザインをめぐるVan Leeuwen Ice Cream LLC(以下、「Van Leeuwen」)とRebel Creamery LLC(以下、「Rebel」)の訴訟で、RebelによるVan Leeuwenのトレードドレス侵害等を認定し、Rebelに2378万5000ドルを支払うよう命じた。

Van Leeuwenは2008年にニューヨークで創業したアイスクリーム会社で、商品には、パステルカラーを基調とする単色の紙製カップ、ミニマルなデザイン、黒色の筆記体による商品名などを組み合わせた特徴的なパッケージを採用していた。一方、低糖質・ケトダイエット対応を特徴とするRebelは、これと類似する配色、黒色の筆記体、同様にミニマルなデザインのパッケージを使用していた。Van Leeuwenは2021年、連邦法およびニューヨーク州法に基づき、トレードドレス侵害、不正競争、希釈化等を主張してRebelを提訴した。

裁判所は、Van Leeuwenのパッケージについて、その構成要素を個別に見るのではなく、色彩、レイアウト、書体等を組み合わせた全体としての商業的印象に着目した。その上で、両社のパッケージは消費者に混同を生じさせる可能性があるほど類似しており、Rebelによる侵害は意図的なものであったと判断した。Rebel側は、自社の最初の使用はVan Leeuwenのトレードドレスを知らずに行った善意の使用であると主張したが、裁判所はこの抗弁を認めなかった。また、両社の商品をめぐる市場関係者の反応など、実際の混同を示す証拠も重視した。

裁判所はRebelに対し、Van Leeuwenのトレードドレスと混同を生じる可能性のあるパッケージの商品販売を永久に差し止めるとともに、Van Leeuwenのトレードドレスとは「実質的に異なる商業的印象」を与えるようパッケージを変更することを命じた。
さらに、裁判所はRebelの侵害商品の販売によって得られた利益の返還を認めた。これはVan Leeuwenが被った損害額を算定して賠償させる通常の損害賠償とは異なり、ランハム法に基づいて侵害者が侵害行為によって得た利益の返還を命じる救済である。

もっとも、裁判所はRebelの利益の全額を返還させることは公平ではないと判断した。Rebelの顧客の一部は、Van Leeuwenのような通常のアイスクリームではなく、健康志向の商品を選択する消費者であり、Rebelの売上のすべてがVan Leeuwenのトレードドレス侵害によって生じたものとはいえないためである。そこで裁判所は、Rebelの利益から33%を控除し、最終的に2378万5000ドルをVan Leeuwenに支払うよう命じた。

その後、Rebelは2026年8月14日、事業再建を目的とするChapter 11(チャプター11)の手続をユタ州地区の連邦破産裁判所に申請した。Rebelは申請前日の8月13日、判決について第二巡回区連邦控訴裁判所にも控訴している。したがって、破産申請を直ちに7月の判決だけに起因するものと断定することはできないものの、約2400万ドルに上る巨額の利益吐き出し命令からわずか29日後にChapter 11の申請に至ったことは、トレードドレスをめぐる知財紛争がRebelの事業継続に重大な影響を及ぼしたことを示す展開といえる。