電気自動車で有名な米国の自動車メーカー、テスラ(Tesla)は、電気自動車分野で最もよく知られたブランドの一つだが、今日のテスラは、単なる自動車メーカーにとどまらない。
テスラは、クリーンエネルギー・ソリューション、ロボット、自動運転タクシーの開発にも取り組んでおり、文字商標「ROBOTAXI」を、乗物、乗物の貸与、輸送、シェアードモビリティを指定してEU商標として出願登録した。
しかし、欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、この名称が記述的だと判断した。テスラはこの査定を不服として審判請求したが、その主張は認められず登録拒絶は維持された。
EUIPOは当初の拒絶において、需要者は「ROBOTAXI」という文字を、自律走行または自動運転するタクシーを意味するものとして直ちに理解すると判断した。
審判において、テスラはこの用語には新規性があり、未来的な印象を与えるもので、示唆的な性質を有するにとどまると主張した。また、運転席に人型ロボットが座っているわけではないことも指摘した。しかし、審判部はこの主張を斥けた。需要者は「robot」という語を、人間による介入なしに作動する自動化されたシステム、またはコンピューターに制御されたシステムを意味するものとして理解することもあるからだ。
また、この文字の構成もテスラに有利には働かなかった。「ROBOTAXI」は「ROBOT」と「TAXI」の文字を組み合わせたものであり、このような結合によって、「ROBOTAXI」が通常とは異なるものになったり、言語的に違う意味を持つものになったりするわけではない、需要者は「robot taxi(ロボット・タクシー)」という意味を容易に認識することができると審判部は判断した。
新たに作り出された造語であっても、その意味が直ちに明確となる場合は、商標法上では記述的なものとなり得る。
乗物との関係では、「ROBOTAXI」は種類や機能を記述するものである。車両部品との関係では、その用途・使用目的を示すもので、輸送、乗物の貸与、リース、シェアードモビリティ及びこれらの関連サービスとの関係では、「ROBOTAXI」は輸送手段そのもの、または当該サービスが展開される分野を指すものと判断された。
テスラはさらに、過去に登録が認められた「CYBERTRUCK」、「CYBERBUS」、「CYBERTAXI」などの商標を援用した。しかし審判部はこれらの商標が「ROBOTAXI」と十分に比較可能なものではないと一蹴した。
「Cyber」という語は、主としてテクノロジーや未来的なイメージとの一般的な関連性を想起させるのに対し、「ROBOTAXI」は自動運転タクシーという具体的な意味を伝えるもので、過去にある商標登録例が別の商標について登録を受ける権利が自動的に生じるわけではない。商標出願はそれぞれ独自の事情に基づいて判断されなければならない。
また、テスラが「ROBOTAXI」を自ら創出した、あるいは普及させた可能性があるとの主張も認められなかった。重要なのは、誰が最初にその文字を使用したかではなく、需要者がその文字をどのように理解するかである。
革新的な製品ではあるのかもしれない。しかし、その名称まで革新的というわけではない。むしろ商標の観点からすれば、保護を受けることのできない、かなり識別力の弱い名称であるといえる。
強固な商標保護の構築を求めるなら、製品の内容や性質を記述する名称に加えて、識別力があり創造性に富んだ名称を選択することが望ましい。
本文は こちら (Tesla fails to register ROBOTAXI as an EU trademark)
