欧州連合知的財産庁(EUIPO)取消部は2026年7月8日、トブラローネ(Toblerone)の特徴的なチョコレート形状に係る立体商標について無効請求を棄却した(無効事件C 67 425)。これにより、約30年前に登録されたトブラローネの立体商標の有効性が維持された。

無効請求の対象商標は、共通の基台上に連続する三角形状の突起を配置したチョコレートバーの立体形状である。請求人は、当該形状について、商品の性質自体に由来する形状であること、技術的結果を得るために必要な形状であること、及び商品に実質的価値を与える形状であることを主張するとともに、識別力も欠くとして、EU商標に関する欧州議会・理事会規則に基づく無効を求めた。
これに対して取消部は、チョコレートには固有の「自然な形状」が存在せず、様々な形状が可能であることから、商品の性質自体に由来する形状には当たらないと判断した。また、三角形状によってチョコレートを個々の部分に分けやすくなるとしても、その技術的効果を得るために当該形状が必要不可欠とはいえないとした。例えば、平板状のチョコレートに溝を設けることによっても同様の効果を実現できるためである。
さらに、形状が商品に実質的価値を与えるとの主張についても、商品の形状自体が有する価値と、商標の著名性・人気とは区別されるべきであるとした。
識別力についても、請求人が提出した他社のチョコレート製品の例だけでは、当時の菓子市場における形状の規範・慣行を立証するには不十分であり、対象商標の形状は市場における通常の形状から十分に離れていると判断された。
本件は、商品形状について立体商標による保護を認める際、単に機能的な効果が存在するかではなく、その形状が技術的結果を達成するために必要不可欠か、また市場における通常の形状からどの程度離れているかが重要になることを示す事例である。
全文は こちら (The art of shape: Why Toblerone remains an untouchable 3D trademark in the EU)
