2026-09-16

ミャンマーにおける商標の識別力、著名性および使用証拠 - Tilleke & Gibbins

2019年商標法(Trademark Law 2019)に基づくミャンマーの先願主義の商標登録制度は、2023年4月に全面的に運用が開始され、従来の制度と比較して、商標権者により強固な法的保護を提供するものとなった。これに伴い、現行制度では、商標に関する権利を取得、維持および行使するための法定要件がより厳格になっている。

もっとも、この先願主義の商標登録制度においても、使用証拠は特に重要な意味を持つ。商標の使用証拠は、使用による識別力の獲得を立証することができるほか、商標が著名であるとの主張を裏付けることができ、さらに、登録手続および権利行使手続の双方において、商標権者の立場を強化することができるからである。

したがって、この制度は、識別力、著名性、そして、とりわけ商標の使用という3つの重要な概念を基盤としているということができる。

商標の識別力
商標法の下では、識別力を欠く標識は、原則として商標保護を受けることができない。このような標識には、普通名称、基本的な形状、装飾されていない単一の文字または数字、ならびに指定された商品または役務の種類、品質、数量、用途、価格、地理的原産地、生産時期その他の特徴を単に記述する標識などが含まれる。
もっとも、識別力の欠如または記述的性質を理由として本来であれば拒絶される商標であっても、出願日前の使用によって識別力を獲得している場合には、登録可能となることがある。それを立証するため、出願人は、ミャンマー国内における取引上の継続的、排他的かつ善意の使用を通じて、その商標が関連する需要者にとって識別力を有するものとなったことを示さなければならない。

使用によって獲得された識別力の立証責任は商標権者が負う。したがって、商標の使用の事実だけでなく、その結果として商標が獲得した需要者による認識の程度についても十分に立証できる証拠を、あらかじめ準備しておくことが必要である。

著名商標の判断基準
ミャンマーの商標登録出願について実体審査を行う際の基準となる商標規則は、国際的な基準に沿った、著名商標を判断するための基準を定めている。
出願人が、相対的拒絶理由による拒絶を克服するため、または第三者による商標登録に対して異議を申し立てるために、商標が著名であると主張した場合、登録官は、以下の法定基準およびそれを裏付ける商業上の証拠に基づいて、その主張を判断する。
* 関連する分野における商標の公衆による認識度
* 商標の使用期間、使用規模および地理的範囲
* 商標の販売促進および広告の程度(見本市および展示会への参加を含む)
* 商標についての権利行使の成功実績、特に関係当局によって著名商標としての認定記録
* 商標の商業的価値および名声 
* 商標が著名であるとの結論を裏付けるその他の関連情報

著名性を主張する出願人は、著名性の判断において考慮されるこれらの要素について、包括的な証拠書類を提出できるよう準備しておくべきである。

使用証拠の重要性
商標の使用期間および使用の継続性は、その商標が使用によって識別力を獲得したこと、または著名商標となったことを主張する上で、その根拠となり得る。
また、ミャンマー市場における商標の継続的かつ善意の使用を示す証拠は、異議申立手続、取消手続および権利行使に関する手続において、商標権者の立場を強化することにもつながる。
したがって、ミャンマーにおいて自らのブランドについて保護を得ようとする商標権者は、商標の使用に関する包括的な記録を維持しておくべきである。このような証拠は、商標の識別力の評価に関連する可能性があるほか、商標が著名であるか否かを判断する際の要素となり得る。
さらに、このような証拠は、紛争が生じた場合に、商標の識別力の強さおよび名声を立証する上でも有用となり得る。

このように、あらかじめ積極的に使用実績を記録・保存しておくことにより、企業およびブランド所有者は、ミャンマーにおける自らの商標の名声および商業的価値を立証するための根拠を整えることができる。

本文は こちら (Mark Distinctiveness, Well-Known Status, and Evidence of Use in Myanmar)