AIを利用して他社製品の虚偽の評価記事を生成し、それに便乗して自社製品への誘導を図る行為は不正競争に該当——某科学技術会社と某ソフトウェア会社などによる商標権侵害および不正競争紛争事件
事件の概要
某科学技術会社は、主に進銷存(販売・仕入・在庫管理)ソフトウェア製品の販売などを手掛けており、某ソフトウェア会社はその同業他社である。某ソフトウェア会社は、「進銷存」を語根として、AIを利用して記事のタイトルを大量に生成した上で、AIに各タイトルに対応する記事を自動生成させた。記事の内容はいずれも、某科学技術会社の進銷存ソフトウェアの紹介と評価に関するものであった。某ソフトウェア会社はこれらの記事を自社ウェブサイトに掲載するとともに、記事の前後に自社の進銷存ソフトウェア製品へと導くリンクを設置した。某科学技術会社は、こうした某ソフトウェア会社の行為が不正競争に当たるとして、法院に提訴した。
判決結果
江蘇省無錫市新呉区人民法院は一審において、某ソフトウェア会社が人工知能(AI)などのツールを利用して、他社の「進銷存」ソフトウェアの紹介・評価に関する記事を大量に生成し、そのうち「某進銷存ソフトウェア」の文言を含む複数の記事を自社の公式ウェブサイトに掲載した行為について、その目的は、検索エンジンの自然検索の仕組みを利用して、同社の公式ウェブサイトに掲載した複数の関連記事が検索され、関連する公衆の検索結果に表示されるようにすることで、こうした公衆に記事内に設置した自社製品へのリンクをクリックするよう誘導し、自社への流入を図ることにあり、また、この行為は、某科学技術会社へのユーザー流入と取引機会を減少させるとともに、インターネット上に大量の低品質な情報を氾濫させてデータ汚染を引き起こし、競争秩序を乱すものであり、不正競争に当たると判断した。一審法院は、某ソフトウェア会社に対し、某科学技術会社に相応の経済的損失を賠償するよう命じた。この一審判決はすでに法的効力を生じている。
典型事例の意義
本件は、反不正当競争法の一般条項を適用して、新たな類型の不正競争行為を規制した典型事例である。判決では、AI技術を利用して虚偽の評価記事を大量に生成、掲載し、それに便乗して自社の製品またはサービスへの誘導を図る行為は、信義誠実の原則および商業道徳に反し、他者の取引機会を不当に奪う不正競争行為に当たることが明確にされた。本件は、反不正当競争法の一般条項を慎重かつ適切に適用し、新たな類型の不正競争行為を効果的に規制するとともに、新興分野における競争秩序を法に基づき整備する上で、参考となるものである。
(事例出所:最高人民法院「2026年人民法院不正競争防止典型事例」)
本文は こちら
