「Birkaianas」という名称は、1774年にドイツで誕生したフットウェアブランド、Birkenstock(ビルケンシュトック)と1962年にブラジルで創業したビーチサンダルブランド、Havaianas(ハワイアナス)が共同で新しい靴のモデルを生み出したかのような印象を与えるものだ。さて、その靴はどうなったのだろうか。
ビルケンシュトックとハワイアナスは、EUIPO(欧州連合知的財産庁)に「Birkaianas」を商標登録しようとしたブルガリアの出願に対し、それぞれ異議申立てを行った。興味深いことに、両者の異議申立ては、まったく異なる結論に至った。
ビルケンシュトックは、先行する文字商標「BIRK」を根拠に異議申立てを行い、混同のおそれがあると主張した。しかし、指定商品が同一であるにもかかわらず、EUIPOは、商標全体として観察した場合、両商標の類似性は不十分であると判断した。「BIRK」は4文字で構成されているのに対し、「BIRKAIANAS」は10文字であり、称呼もリズムも明らかに異なる。EUIPOによれば、冒頭の4文字が同一であるという事実だけでは、混同のおそれを認定するには不十分であった。したがって、ビルケンシュトックの異議申立ては全面的に退けられた。
これに対し、ハワイアナスの異議申立てでは異なる結果となった。商標権者である親会社のAlpargatas(アルパルガタス)は、少なくともスペインにおいて、「HAVAIANAS」がビーチサンダルについて著名な商標であることを立証した。そのため、EUIPOは、混同のおそれだけでなく、とりわけ、名声を有する商標に認められる広範な保護についても検討した。
「BIRKAIANAS」と「HAVAIANAS」は、識別力を有する語尾「-aianas」を共有しており、同一または緊密に関連する商品に使用されている。EUIPOによれば、そのため、需要者は両商標間に関連性を認識する可能性が高い。したがって、「BIRKAIANAS」の出願人は、ハワイアナスが長年にわたって築き上げてきた名声、イメージおよび商業的訴求力の恩恵を受ける可能性がある。これは、先行商標の名声に不当に便乗することに当たるとして、「BIRKAIANAS」商標の登録は全面的に拒絶された。
この2つの決定は、同一の商標出願であっても、主張する法的根拠によって判断が大きく異なり得ることを端的に示している。混同のおそれについては、商品が実質的に同一であっても、「BIRK」のように語頭が共通しているというだけで、直ちに混同のおそれが認められるわけではない。これに対し、名声を有する商標は、後願商標が十分な連想を生じさせ、そこから商業的利益を得る可能性がある場合には広範な保護を受けることができる。
商標権者にとって、ここに重要な戦略上の示唆がある。異議申立てにおいて重要なのは、出願商標に最もよく類似する先行商標を特定することだけではなく、適切な法的根拠を選択することでもある。ビルケンシュトックは、混同のおそれのみを根拠として主張した。一方、ハワイアナスは、その商標が有する名声も援用することができ、それによって、「BIRKAIANAS」の際立った要素を的確に捉えて主張を展開した。したがって、名声を有する商標に認められる広範な保護は、異議申立てが失敗に終わるか、あるいは出願を全面的に阻止できるかを左右する要因となり得るということだ。
本文は こちら (Clever idea? Birkenstock + Havaianas = Birkaianas?)
