2023-01-24

工藤莞司の注目裁判:「次世代3Dプリンタ展」の登録性について争われた事例

(令和4年12月14日 知財高裁令和4年(行ケ)第10068号 展示会名事件)

事案の概要 原告(審判請求人・出願人)は、35類「広告業、広告、商品見本市・商品博覧会・商品展示会の企画及び運営、販売促進のためのイベント及びマーケティングイベントの手配及び運営、商業又は広告のための商品見本市の企画・運営」等を指定役務として、「次世代3Dプリンタ展」を標準文字で表した本願商標の登録出願をしたが拒絶査定を受けて不服審判請求(不服2021-6565)をした処、 特許庁は、不成立審決をしたため、知財高裁に対しその取消しを求めて出訴した事案である。拒絶理由は商標法3条1項3号該当である。

判 旨 前記・・・によると、「次世代」の語が、「3Dプリンタ」に対し、「次の段階」といった意味を示す趣旨で付されて用いられている例があることも考慮すると、本願商標「次世代3Dプリンタ展」に接した者は、本願商標が「次世代3Dプリンタ」の語と「展」の語とから成るものと理解するのが自然である。・・・「〇〇 展」の語の使用例の中に「3Dプリンタ」と「展」から成る例があることも考慮すると、本願商標「次世代3Dプリンタ展」の語については、「次の段階の3Dプリンタを内容又はそれに係る共通の特徴とする展示会」という意味合いを容易に認識させるものである。そうすると、本件審決時点において、本願商標「次世代3Dプリンタ展」は、展示会等に係る本件役務について使用されるときは、これに接する需要者等において、「次の段階の3Dプリンタを内容又はそれに係る共通の特徴とする展示会」を表したものと認識されるというべきであるから、 役務の内容を認識させ、役務の質を表示する標章に当たる。そして、本願商標は、普通に用いられる方法で表示する商標であるから、商標法3条1項3号に該当するというべきである。
 知財高裁は、同日以下の事案、「関西 次世代3Dプリンタ展」(令和4年(行ケ)第10069号)、「名古屋 次世代3Dプリンタ展」(令和4年(行ケ)第10070号、「計測・検査・センサ展」(令和4年(行ケ)第10071号)についても、同旨の判決を下した

コメント 本件判決は、本願商標「次世代3Dプリンタ展」は、指定役務の商品見本市・商品博覧会・商品展示会の企画及び運営等については、役務の内容・品質表示であり3条1項3号に該当するとして、同旨の審決を支持したものである。本願商標の構成や使用例を考慮したもので正当な認定、判断である。一定の商品等に関する展示会の名称と認識されるものである。この点、原告は、本件役務の分野において、「○○展」の語が、一般に、「特定人が開催等する展示会等の固有の名称」として採択され、使用されていることが明らかであると主張したが、斥けられた。開催者側の目線と思われるが、商標としては、展示商品等の需要者目線となる。