(令和8年2月25日 知財高裁令和7年(行ケ)第10092号 「DEEP CLEANSING OIL」事件)

事案の概要
原告(審判請求人・出願人)は、本願商標「DEEP CLEANSING OIL」(右掲参照)黒枠内につき、商標記載欄の色彩と同一の色彩(白色)を付すべき旨の表示がある(商標法5条6項ただし書)指定商品3類「クレンジングオイル」について登録出願をしたが拒絶査定を受けて拒絶査定不服の審判(2023-698)を請求した処、特許庁は不成立審決をしたため、知財高裁に対して、審決の取消しを求め提訴した事案である。拒絶理由は、本願商標は商標法3条1項3号に該当し、3条2項に規定する要件を具備するとはいえないとされた。
判 旨
本願商標 ・・・deepは深いさま(証拠略)、cleansing oilは化粧や顔の汚れを落とすために使う液剤(証拠略)を意味する普通名詞である。また、商品名に「DEEP CLEANSING OIL」、「Deep Cleansing Oil」又は「ディープクレンジングオイル」を含むクレンジングオイルの中には、毛穴の中まで浸透して汚れを落とすこと(証拠略)、古い角質を浮き上がらせて除去すること(証拠略)をうたうものが相当数存在する。これらの事実からすると、「DEEP CLEANSING OIL」との部分は、指定商品「クレンジングオイル」に使用された場合、需要者に、毛穴の汚れや古い角質など皮膚の深部の汚れを落とすオイル状の洗浄剤を認識させるということができるから、商品の品質を表示する標章に当たる。さらに、上記欧文字部分は、長方形の枠に囲われ、枠内の背景は白色とされているが、当該文字部分を目立たせるためのありふれた手法であり、本願商標の指定商品と類似する化粧品についても、そのような表示を採用する商品は複数存在することが認められる(証拠略)から、この点も「普通に用いられる方法」の域を出ないと解される。したがって、本願商標が法3条1項3号に該当するとした本件審決の判断に誤りはない。
原告が約30年にわたり大量に販売してきたこと、新聞広告等による宣伝活動が活発に行われるとともに、平成22年までは人気ランキングにおいてクレンジング部門の第1位に選出されたことからすれば、平成23年頃の時点においては、本願商標は、全国の需要者に相当程度浸透していたと認めることができる。一方、遅くとも平成21年以降、複数の化粧品メーカーにより、「DEEP CLEANSING OIL」、「Deep Cleansing Oil」又は「ディープクレンジングオイル」を商品名に含むクレンジングオイルが販売されるようになったこと、これらの商品の多くが、毛穴の中まで浸透して汚れを落とすこと、古い角質を浮き上がらせて除去することをうたっていることに照らすと、本願商標中の文字部分は商品の種類ないし品質を示す共通名称と認識されるようになったと推認するのが相当である。これに加え、本件商品の表面には原告の企業名も表示され、広告類でも「DHCディープクレンジングオイル」等と表示されていることを勘案すると、需要者が、本願商標により原告の業務に係る商品と認識することができると認めることは困難である。したがって、本願商標が法3条2項に該当しないとした本件審決の判断に誤りはない。
コメント
本件事案の主たる争点は、3条2項の該当性であり、知財高裁でも否定されたものである。本願商標は指定商品の記述的な表示であり、使用による識別力の獲得、3条2項の該当性がポイントであった。指定商品の業界では原告が先行していたようであるが、判決ではその後同業他社の進出が認定されている。その中でも、本願商標.の記述的な表示がネックとなった。
