(令和8年3月18日 東京地裁令和7年(ワ)第70439号 「恐竜検定」商標権侵害事件)

事案の概要
本件は、本件商標(登録6880090号右掲図参照)41類「検定試験の企画・運営、検定試験の実施、美術品の展示、映画・演芸・ 演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」等に係る商標権を有する原告が、被告の「恐竜検定」の使用により本件商標権が侵害されたと主張して、被告に対し、民法709条に基づき、損害賠償金100円(商標法38条3項により算定される損害)及びこれに対する遅延損害金を選択的に、被告が被告標章を使用することで法律上の原因なく利益を受け、原告はライセンス料相当の損失を被ったと主張して、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき利息の支払を求めた事案である。
判 旨
本件商標は、イラスト及び複数の文字で構成される結合商標であるところ、上記のとおり、長方形の枠で囲われた標章であり、イラスト及び文字部分が当該枠内に大小こそあれ整然と配置されるとともに、背景と文字及びイラストが3色で色分けされ、一体としてまとまりよくデザイン化されているものといえるから、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほどに不可分的に結合していると認めるのが相当である。そうすると、本件商標は、その構成部分全体によって出所識別機能を有するものであると認められる。被告標章は、標準的な文字で記載された「恐竜検定」との標章である。
本件商標と被告標章の比較 (ア) 外観 本件商標は上記のとおりの構成の外観を有しており、被告標章は標準的な文字で記載された「恐竜検定」との外観であるから、本件商標と被告標章は外観において類似しない。 (イ) 本件商標からは、「きょうりゅうけんていスタディオブダイナソー いっきゅうきょうりゅうはかせファーストプロフェッサーオブダイナソー」との称呼が生じるのに対し、被告標章からは「きょうりゅうけんてい」との称呼が生じるから、本件商標と被告標章は称呼において類似しない。(ウ) 観念 本件商標からは、「恐竜の知識に関する検定試験恐竜に非常に詳しい人」との観念が生じるのに対し、被告標章からは「恐竜の知識に関する検定試験」との観念が生じるから、本件商標と被告標章は観念において 類似しない。オ 上記のとおり、本件商標と被告標章は、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似せず、本件証拠上、類否の判断を左右するような取引の実情も認められないから、本件商標と被告標章は類似するとは認められない。
コメント
本件事案は、商標権侵害事件である処、原告登録商標については、「恐竜検定」の文字を含むが、文字、図形一体不可分の結合商標として、外観、称呼及び観念上いずれにおいても、被告使用商標とは非類似と判断されたものである。妥当な判断であろう。
