(令和8年4月23日 知財高裁令和7年(行ケ)第10099号 「Tibetan Tiger」事件)

事案の概要
原告(審判請求人・出願人)は、本願商標(右掲図参照)、指定商品20類「クッション、座布団、まくら、マットレス」24類「クッションカバー、マットレスカバー、布団カバー、まくらカバー、織物製椅子カバー、織物製壁掛け、カーテン、テーブル掛け、織物製トイレットシートカバー、織物製」(補正後のもの)について、登録出願を行ったが拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判(2024-19755)の請求をした処、特許庁は不成立審決をしたため、。知財高裁に対して、審決の取消しを求めて提訴した事案である。拒絶理由は商標法3条1項3号、4条1項16号該当である。
判 旨
ア(ア) 前記各事実によれば、本件審決当時、トラの柄を模し、トラを上から見たときの平面形状を表し、S字状に湾曲した尾、U字形の口、上まぶたに縁取り様のデザインが施されているという特徴を有する形状のラグについて、「Tibetan Tiger Rug」あるいは「チベタンタイガーラグ」と称して・・・、 (イ) また前記各事実によれば、本件審決当時、トラの柄を模し、トラを上から見たときの平面形状を表し、S字状に湾曲した尾、U字形の口、上まぶたに縁取り様のデザインが施されている特徴を有する図柄を用いたじゅうたん・ラグ以外の商品が販売されており、ウェブサイト において、「チベタンタイガー」、「「Tibetan Tiger」の文字を含むものとし、上記図柄について、チベットで生産されているじゅうたんに用いられている図柄を示して取引されている実情が認められる。前記のウェブサイトには、上記図柄が用いられているじゅうたんを「チベタンタイガーラグ」と表記するものや、上記図柄を「チベタンタイガー」と表記するものもある。そして、前記のウェブサイトで紹介・販売されている商品のうち、クッションカバー、カーテン及びTシャツ・シャツは、本願指定商品に含まれる商品であると認められる。イ 本願商標のうち、本願図形部分の具体的内容によれば、トラの柄を模し、トラを上から見たときの平面形状を表し、S字状に湾曲した尾、U字形の口、上まぶたに縁取り様のデザインが施されているという特徴を有するものであり、「Tibetan Tiger Rug」あるいは「チベタンタイガーラグ」と 称して取引されているじゅうたん・ラグに用いられている図柄や、じゅうたん・ラグ以外の商品であって、当該商品を取り扱うウェブサイトにおいて当該商品を示す見出しの記載が「チベタンタイガー」、「Tibetan Tiger」の文字を含むものとされている商品に用いられている図柄と特徴が共通しており、外観が極めて類似しているものも多い。また、本願文字部分は、文字に特殊な装飾が用いられていることはなく、一般的な書体により表されているといえる。ウ 上記によれば、本願指定商品の取引者、需要者は、本願商標が本願指定商品に使用されたときには、本願商標は、「Tibetan Tiger」(チベタンタイガー)と称される図柄と、その図柄の名称を一般的な書体で表した文字を組み合わせたものであると認識するといえる。したがって、本願商標は、本願指定商品に使用された場合に、商品の品質を表示したものと一般に認識されるものであり、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとされるものに該当し、その指定商品について商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(3条1項3号)と認められる。本願商標を、本願指定商品中、「Tibetan Tiger」(チベタンタイガー)と称される図柄を用いていない商品に使用する時は、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、本願商標は4条1項16号に該当する。
コメント
知財高裁も、本件事案については、3条1項3号及び4条1項16号に該当すると判断して請求を棄却し、審決を支持したものである。判決は、「Tibetan Tiger」の図柄と、その図柄名称を表した文字についての認識を理由に商品の品質に当たるとしているが、何故指定商品の品質に当たるのか不明である。当該図柄と名称が既に使用されているとしても、それが指定商品の品質表示に当たるとの判断は、早計であろう。具体的に指定商品クッション、座布団、まくら以下の如何なる品質を表示して識別力なしなのか迄は踏み込んでいない。他人による使用例だけでの、品質表示該当の判断は出来ないと思う。先に、本願商標「Tibetan Tiger」は指定商品中の本件ラグとの関係においては、商品の品質等の特徴を普通に用いられる方法で表示するものと認められるとした裁判例がある(令和6年4月17日 知財高裁令和5年(行ケ)第10114号 「Tibetan Tiger」事件)。
