2026-07-21

工藤莞司の注目裁判:被告の擬制自白により商標権侵害訴訟が認容された事例

(令和8年4月24日 東京地裁令和7年(ワ)第70563号 「シュパットタイプ」商標権侵害事件)

事案の概要
 原告は、登録商標「シュパット」(標準文字)登録第6064077号)9類「布製キーボード用埃除けカバー」12類 「自転車用荷かごカバー、自転車用サドルカバー、自転車用車体カバ ー、オートバイ用カバー、ショッピングカート用カバー(型に合わせ たもの)、自動車用車体カバー、自動車用のシートカバー、自動車のハンドルカバー、自動車用窓カーテン、自動車用の車内日除けカバー等」に係る商標権者で、被告らは被告標章「シュパットタイプ」を広告各媒体に付し、また、Youtubeで広告に付しているとして、被告らを相手に対し、使用の差止及び損害賠償を求めて商標権侵害訴訟を提起したが、被告らは、いずれも適式の呼出しを受けながら、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しないから、請求原因事実を争うことを明らかにしないものと認め、これを自白したものとみなすとさされたものである。商標権を侵害の外、不正競争行為(商品等表示)等についても認容された(略)。

判 旨
 原告商標は、前掲のとおりである。被告標章は、標準的な文字で記載された「シュパットタイプ」との標章である。原告商標と被告標章の比較 原告商標と被告標章は、その外観において「シュパット」との標準的な文字が共通し、「タイプ」との記載で相違するところ、「タイプ」との記載は型を示す用語であり、特段の意味を有しないものであることからすると、外観において類似すると認められる。原告商標の称呼は「シュパット」であり、被告商標の称呼は「シュパットタイプ」であるから、両者は「タイプ」との音の有無で相違する。しか し、両者は、語頭における称呼を共通とするものであり、かつ、上記のとおり、「タイプ」との記載は特段の意味を有しないことからすると、両者の称呼の共通性は、識別上、重要であると認められるから、称呼においても類似すると認められる。原告商標及び被告標章は、いずれも一種の造語であり、特定の観念を生じない。上記からすると、被告標章は、原告商標と外観及び称呼が類似し、特定の観念が生じないものであり、これに接した需要者は、原告商標と出所を誤認混同するおそれがあると認められる。したがって、被告標章は、原告商標と類似する。自白したものとみなされる請求原因のとおり、被告らは、 被告標章を広告各媒体に付し、また、Youtubeでの広告に付していると認められることからすれば、このような被告らの行為は原告商標権を侵害するものと認められる。

コメント
 本件事案は、商標権侵害訴訟だが、被告側が答弁書などを提出しなかったため、擬制自白とみなされた事例(民事訴訟法第159条)で、そして、登録商標「シュパット」と被告使用商標「シュパットタイプ」とは、「タイプ」は商品の型を意味し、両商標は類似と判断され、原告の請求が認められたものである。