(令和7年12月23日 東京地裁令和7年(ワ)第70055号 「餃子フェス」侵害事件 控訴審 原告控訴棄却 令和8年6月30日 知財高裁令和8年(ネ)第10013号)
事案の概要
本件は、原告(商標権者)が、被告らが餃子に関するイベントにおいて被告各標章「全国ぐっと!!」及び「餃子フェス」を使用する行為が、原告商標権「餃子フェス」「Gyoza Festival」(登録第6023253号)等を侵害すると主張して、被告らに対し、商標権に基づく被告各標章の使用の差止め、不法行為(民法709条及び719条)等に基づく損害賠償、延損害金の支払を請求した事案である。
判 旨
各認定事実によれば、上記各記事ないし投稿のいずれにおいても、被告標章1 及び2 は本件イベント 1 のイベント名を示すものと理解され、他に本件イベント1のイベント名を示すものとして理解し得る記載はこれらの画像には見当たらないことに加え、これらの画像のいずれにおいても餃子の画像及びイラストが大きな割合を占めていることを併せ考えると、被告標章1及び2は、需要者にとって、いずれも本件イベント1のイベント名を示すものとして理解されるものと認められる。このことに加え、本件審決が理由として示すとおり、餃子の提供を中心とするイベントの名称としては、「餃子フェス」のみでは自他役務識別機能 に乏しいとみられることは論を俟たないといってよいほどであること、文字数も合計10文字(促音等を含み、感嘆符を除く。)とさほど多くなく、容易に一息で読み上げることができることに鑑みれば、「全国ぐっと!!」及び「餃子フェス」を結合した被告標章 1及び2は、これらを上下二段に配した場合(被告標章1)及び一行に配した場合(被告標章2)のいずれを問わず、一連一体の標章として把握するのが相当である。以上を前提とすると、原告商標は漢字及び片仮名を組み合わせた「餃子フェス」と欧文字「Gyoza Festival」を上下二段かつ左右略同一幅に書してなるものであるのに対し、被告標章1及び2は、「全国ぐっと!!」 及び「餃子フェス」を、前記認定のとおり、上下二段(被告標章 1。な お、左右幅は、「全国ぐっと!!」の感嘆符を除く部分と「餃子フェス」部 分とが略同一幅である。)ないし左右方向に一行(被告標章 2)に書してなるものであるから、原告商標と被告標章1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれも異なる。したがって、被告標章1及び2は、いずれ も原告商標とは類似しない。本件イベント2に係る被告標章3「全国ぐっと!ラーメン祭り with 餃子フェス」は、需要者が何人かの 業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていないというべきであるから、原告商標権の効力は及ばない(法26条1項6号)。
被告標章4は、「全国ぐっと!」及び「餃子フェス.」の各文字部分を上下二段に配し、各文字部分の文字に対する装飾及びフォ ントは同一であるものの、フォントサイズは後者が前者の4倍程度の大きさのものである。もっとも、餃子の提供を中心とするイベントの名称としての「餃子フェス」部分の自他役務識別機能の乏しさ(「餃子フェス」に「.」が追加されたことのみでは、この点の評価は異ならないとみられる。)に鑑みると、このような構成を考慮してもなお、「全国ぐっと!」部分と「餃子フェス.」部分は一連一体の標章としてみるのが相当である。そうすると、原告商標と被告標章4とは、外観、称呼及び観念のいずれも異なるものである。したがって、被告標章4は、原告商標とは類似しない。
コメント
侵害訴訟において、商標の類否が争われて、非類似と判断され、原告の請求が棄却されたものである。被告の使用は全国各地開催のイベントの画像上のもので、その点も考慮されて「全国ぐっと!!」 及び「餃子フェス」は一連のものと、また「餃子フェス」は識別力も乏しいことからでもある。控訴審でも、非類似の判断は覆られなかった。被告標章3「全国ぐっと!ラーメン祭り with 餃子フェス」は商標的使用ではないとされた。
